私と「かわいい」との距離は、一緒にいる人によって変わる。相手と自分の「かわいい」が重なるところを無意識に探っているような気がする。

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完全に感覚でやっているけれど、言葉にするとしたら、レーダーチャートを相手ごとに作っているような感じがイメージしやすいと思う。「かわいい」と感じる物の種類ごとにその度合いを評価して、当てはまるポイントを繋げると歪な丸ができる。それを会うときに引っ張りだしている。まぁ私が勝手に作っているので、正確な数値とは限らないけれど…!(これに関しては、自分のレーダーチャートも例外ではない)

それじゃ相手に合わせて自分がないじゃないか!と怒られてしまいそうだが、そんなことはない。食い気味に全力否定はできないけれど(!)、自分の意見もある上での相手合わせだと自分では思っている。だって私は自分に刺さった「かわいい」の中から、相手にも刺さりそうな「かわいい」を口に出すようにしているから。
現に相手がかわいいと言っても、自分がかわいいと思わなかったら「うん」や「いいね」としか返さない(同意してるやないかい)。「かわいい」と言わなければ、心からの共感ではないという謎の思考を持っているのでセーフなのである。

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また、会う前に何を着ていこうか考えるときも頭の片隅にその存在がある。会った瞬間に相手が「その服装いいね!」って思ってくれるところを想像すると、ワクワクして、ついついにやけてしまうから、遊びでも仕事でもデートでも、見た目に気を遣うことに関して、私は等しく妥協していないと思う。
願わくば声に出してほしいけれど、それを本気で求めるのは家族だけと決めている。いろんな家族の形があるから断言はできないが、私の家族に限っていえば、「かわいい」にウソや偽りがないので、とても心が満たされる。だから、実家に帰省するときも手を抜かずにメイクをするし、お気に入りの、なおかつ「かわいい」と言ってくれそうな服を着てオシャレをする。

……もしかすると私は、三兄妹の末っ子として可愛がられて育ってきたから、万物に「かわいい」と思われたい欲が強いのかもしれない!

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思わぬ発見をしたところで、ここまで私だけの特権のように語ってきたレーダーチャート手法だが、おそらく多くの人はこの手法を体得していると思う。絶対的にこれが頼りになる時があるからだ。
それはプレゼントを選ぶ時である。100%自分軸で探す人は、なかなかいないのではないだろうか。「かわいい=好きそう」という範囲内で、かつ自分の「かわいい」と重なるもの。ベストと出会うまでお店をハシゴしたり、時にはネットの流行りを信頼してみたり、はたまた狙いを定めて一点突破の場合もある。ただ変わらないのは、どんなときでも根底に相手の存在があることだ。きっと誰もが相手の喜ぶ姿を想像して準備するはず。

ということで、この世の多くの人はレーダーチャート愛用者に違いないというのが私の見解である。