結婚を意識していた恋人と別れて早1年と半年。
職場も変わった。ボランティアにも参加している。男女共用のシェアハウスにまで入居した。それでも唯一手を出せなかった、マッチングアプリ。

これだけ他の行動をしていて、なぜかアプリだけはタイミングを逃し続けていた。
友人もアプリで出会った彼女と2年以上交際続いているし、別の友人はアプリで出会った人と結婚した。

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アプリを始められない理由はいくつかある。そもそも、そこまで本気で彼氏が欲しいと思っていないこと。ボランティアは『外国の人と日本語で会話する』というものだけど、学生時代から外国文化に興味があるから始めたのが大きな理由。そこでイケメン外国人と出会えないかな、という邪な気持ちを持っていたのは否めないけど。

シェアハウスに入居したのは、一人暮らしに飽きたから。元々兄弟が多く実家が賑やかだったので、1人のあの静かな空間に耐えきれなくなった。1人で小さな虫1匹に対して1時間かけて戦うのも馬鹿らしかったし。男女共用シェアハウスにしたのは、上と同じ理由ですが。

アプリを始められないもう一つの大きな理由は、友人みんなに『あんたはアプリ絶対向いてない』と言われること。それは、言われなくても嫌というほど自覚があった。仲の良い友人のメッセージは、平気で1週間くらい返信しない。仲が良いからこそ、という甘えもあるけど、そもそもメッセージ自体がめんどくさい。だから知らない男の人とメッセージなんて、想像もできない。

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そんな私ですが、10日前ついにアプリを始めました。
きっかけはちょうど10日前に行った花火大会。1人来られなくなったからと、伯母に誘われて行った大きな花火大会で、初めて有料席で観覧した。4人1組での観覧席だったのだが、他の2人はもちろん伯母の知り合い。私は道中の電車で初めましてだった。

会場に着くとたくさんの人、人、人。浴衣を着た若いカップルもいれば、小さなお子さんを連れた家族もいる。
初めての有料席で観る花火は格別だった。それと同じくらい、いつも以上に家族連れに目がいく。私、彼氏が欲しいというより、家庭を築きたいんだ。
でもそうするには、築くまでの過程をすっ飛ばすわけにいかない。

初対面の人と花火を見た経験も大きかった。年が離れた同性とはいえ、初めましてで屋台を巡り、同じ花火を眺めた。これなら、歳の近い異性と初めましてでも行けるのでは?メッセージは苦手だけど、対面になってしまえば私は案外大丈夫だと知った。確かに、ボランティアもシェアハウスも対面だし。

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そしてアプリを入れて10日目の現在に至るわけだが、案の定メッセージに苦戦している。思った以上に、相手からの返信が来なかった。私が返信するしないとか以前に、オンライン上での距離感の掴み方が全然わからない。対面になってしまえば大丈夫と言いつつ、これではいつリアルに会えるのか全く想像できない。

それでも気長に、今日もいいねを待ちいいねを送る。
いつか自分の家庭を築くために。