少し、変な話をしようと思う。いや、どうだろう、私が変だと思っているだけで、実はそうでもないかもしれない。とりあえず、その内容についてお話しさせていただくと……。

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私は、私以外の女性が「かわいい」と言われている状況を見ても、微塵も嫉妬しない。だが、男性が「かわいい」と言われているのを見ると、途轍もなく嫉妬してしまう。

現実世界でもそうだが、テレビ等で、“かわいい”を売りにしている男性タレントの方なんかが共演者の方から「かわいい」と言われていたりするのを見ると、どうも嫉妬の感情が出てきてしまう。なぜこのようなことになるのか、自分でもよくわかっていなかった。ので、今回このエッセイを書くにあたって、原因を考えてみた。

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まず、大前提として、私は女としての自分の姿に自信がない。身長は成人男性の平均を越え、肩幅は広く、男性に見間違えられることもよくある。おまけに肌は、アトピーの影響もあり、よく見る女の子達のキレイな肌とはかけ離れたものである。

そんな見た目なので、私は女としての自分に自信を持てずにいるのだ。一方、もし自分が男だったら、それなりにモテる自信がある。実際、高校は女子校に通っていたが、それこそ女の子達から告白されるということもあった。服もメンズのものを着ることが多く、正直、自身のことを「女」だと称することに違和感を感じることもある。

そんなわけなので、恐らく私は、ライバル意識的なものが、女性にではなく男性に向いてしまうのかもしれない。きっと、「かわいい」と言われる男性に嫉妬してしまうひとつの理由はこれだろう。

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そしてもうひとつ。こんなことを言いつつ、そうは言ってもまだ私の中に、自分が女性であるという意識がもちろんある。そして、自分が思う「かわいい」女性に、自分がなれていないという事実も確かにある。

女性である自分が「かわいい」状態でいられていないのに、「かわいい」よりも「カッコいい」と言われることの方が恐らく多いであろう(この多様性が叫ばれている現代で未だこんな価値観でいる自身もどうかと思うが)男性にさえ、かわいさが劣っている、と思ってしまうのだろう。そして、恐らくその思いが私の気持ちを陰らせていく。きっと、私が女性ではなく男性に嫉妬してしまうのは、この二つの理由からだろう。

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と、ここまで私なりに可愛いと言われる男性への嫉妬の原因を考えてみたが…。はて、この渦巻く嫉妬の感情をどのようにしたら消していけるだろうか。ダイエットやメイクの研究なんかではどうにもならない事情であるので、自信を持つために努力をする、というのも少し違う気がする。

そもそも、この嫉妬の感情は排除しなくてはいけないものだろうか。自分なりにこの嫉妬の原因を考えているうちに、この感情と共存していても別にいい気がしてきた。「うっわ、この男の人かっわいいー!! くっそー、負けた!! 完敗、お手上げ!!」と一叫びすればそれで気持ちが収まるレベルのものな気がする。

私の中の「かわいい」による気持ちの揺れは様々な場面であるものの、「ああ、あなた、確かにかわいいっすね、いやほんとに」と思うだけで多分、割と心は落ち着けられると思う。うん、あ、多分、私にとっての「かわいい」っていう言葉はその程度の存在だ。それよりも、「カッコいい」「優しい」「面白い」的なことを言われる方がよっぽど嬉しい。

まあ、そうは言っても、たまには女の子っぽい格好がしたいなと思って着飾った日に、「え、今日の格好、かわいいね!」なんて友人に言われた時には、やっぱり嬉しいわけだけど。