私は自分のダメなところ、嫌なところ、いわゆる短所を見つけることが得意だ。
今まで数えきれないほどの短所を見つけてきた。ここに全て書き出すことの出来ないほどに。

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好きなことや興味のあることに集中しすぎてしまう。自分に沢山ある短所の1つである。この短所は自分の体調を悪くしてしまうこともある厄介なものだ。好きなことや興味が長く続かない今、傍から見ると熱しやすく冷めやすい、そして物事が長く続けられない、そうも見えているかもしれない。

そんなことを考え始めるとネガティブな思考は止まらない。ただ、今まで自分はその思考に苦しんできたが、誰かに迷惑をかけただろうか。自分自身苦しんでいても、長所がないことに困ってはいなかった。高校を受験するまでは。

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高校受験の面接。必ずと言っていいほど聞かれると中学の先生に言われた質問は「あなたの長所は?」というものだった。今まで自分のダメなところしか見てこなかった私はそこで初めて長所がないことに困った。あるのかもしれない、でも自分でそれに気づくのは私にとってとても難しいことだった。

面接の練習を始める前に面接官の質問にどう答えるか書くプリントで埋められない長所に関する質問の解答欄。考えれば考えるほどに分からなくなっていく。結局埋められないまま提出した。それから自分の長所を考える日々が続いた。

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そこで少しずつ気づき始めたことがあった。それは沢山見つけてきた短所と見つけることが難しかった長所は紙一重なのではないか、と。

集中しすぎてしまうこともよく言えば集中することができる、になる。人間関係での悩みを抱えやすく、ストレスを溜めやすい。これも私の短所であるが長所にするとしたら相手の目線で考えることができる、気を配ることができる。ストレス社会と言われている場で生きていくには相手の目線で考えたり、気を配らない方が楽に生きることができるのかもしれない。でも、それでは社会で上手くやっていけないのではないかと思っている。

もう1つ言うとしたら私は冷静だと言われることが多い。反応が薄いと短所に出てしまうことだってあるが、冷静に対処しなければならない時には長所になる。
必ずしも変換できるわけではないかもしれないが、短所はほぼ長所なのかもしれない。これを言うと悪くなってしまうけれど、長所が短所だったりすることもあるのではないだろうか。

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そこに気づけた時こそが、私が実は得意だったことを知った瞬間だ。
短所がほぼ長所だとしたら私は長所を見つけることが得意なのかもしれない。
それに気づいたからと言っていつもそんなポジティブ思考ではない。短所を長所に変換することなどできない時だってある。もしかしたら人間はそんな日がほとんどかもしれない。少なくとも私はそんな日が多い。

でも、私みたいに長所を見つけられていない人がこれを読んでいたら一度でもいいから短所を長所に変換してみてください、そう伝えたい。
今となっては長所も短所も「好きなことや興味のあることに集中すること」だ。