私は学校で広報係という有志団体に所属している。その中で学校に訪れた受験生の相談に乗ったり、部活動見学案内を行ったり、大学で開催される学校フェスタに代表として参加するなど学校の魅力を外部に伝えるお手伝いをしている。また、個人の活動としては自身のラジオで毎週学校での出来事を受験生に向けて発信している。

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実はこのラジオが私の広報活動のはじめの一歩だった。私は元々ラジオが好きでラジオをずっと聴いていたところ、いつしか自分もと発信する側に憧れを抱くようになった。そこで先生に学校でできないかと相談しに行き、広報活動としてならと許可を貰い、自分のラジオ番組を立ち上げた。

収録、編集など全て自分で行い、学校の受験生向けサイトで発信している。基本的には学校で起こった面白い出来事や授業の話をするのだが、質問を頂いた時はそれに答えている。実際に発信をしている中で勉強法が見つかった、自信が持てたという感想をお便りで頂くことがあり、自分の声が受験生に届いているのだと実感する事が出来た。

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そして広報の楽しさに気付き、広報係になり活動している中で、自分の使命のようなものに気付くことができた。オープンキャンパスに来てくれた受験生と保護者の対応をしていた時、人によって様々で積極的に質問をしてくれる子もいれば、黙って俯いており保護者の方だけ質問を投げかけてくる場合もあった。むしろ受験生自身が積極的なのは稀で保護者の方との気持ちのずれが目立った。

そんな時でも、受験生に小学校や塾の話をこちらから逆に質問してみたりしてとにかく距離を少しでも縮めて相談しやすい空気を作ることを心がけた。人によって反応も様々で中々心を開いてくれない子もいたが、粘り強く話しかけていると少しずつ顔を上げてくれるようになり質問も飛び交うようになった。来た時は不安そうだった子が帰る時に前向きな顔になっている姿を見ると力になれたのかもしれないと嬉しく感じた。

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それから私のポッドキャストも少し変わった。今までは自分の番組だから好きに自由に話したいという気持ちで発信していた。自分のやりたいことはそれなのだと思っていた。
しかし、実際に受験生や保護者と向き合ったことで受験生が黙って俯いているのも保護者の方の質問量が多いのも不安からきているのだと分かった。中学受験は本人にとって初めての経験で自信があるという方が珍しい。だから経験者である私にできることは少しでも彼女たちの役に立つようなコンテンツを発信することだと思った。そしてまたそのことが自分の1番やりたいことなのだと気づいた。

何故ならお便りで「あのエピソード面白かったです」と言われるより「おかげで勉強法が分かりました」と言われた方が嬉しかったからだ。そしてその「おかげで」の声を増やすことが私の広報活動の目的になった。

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また、アプローチも少し変わった。今まで広報活動においては言葉が最も重要だと思っていた。同じ内容でも言い回しを変えることでより受け取り方が異なるのは日常においてもよくあることだ。しかしいくら言葉に気を遣っても受験生達は緊張していて一言一句頭に入っていることはない。それよりも楽しそうに学校の話をしていた方が学校の魅力が伝わる気がする。

実際、私が今の学校を選んだのは文化祭で生徒達が楽しそうに出し物をしていて「雰囲気がいいな」と感じたからだ。
だから私も無理に飾らずに、いつもの学校の雰囲気の良さを伝えていこうと思った。そしてそんな日常を伝える手段が私にはある。現役で通う学生の自分の声だからこそ意味を持つものを私は伝えていかなければならない。それが私の使命だと思っている。