私には、幼い頃から大切にしているおもちゃがあります。それはバービーです。

バービーは世界的に有名な人形で色鮮やかなドレスから消防士など幅広いコスチュームに着替えて遊ぶことができます。ファッションだけでなく、性別、人種、職業などの多様性を表現しており、「You Can Be Anything(あなたは何にだってなれる)」というメッセージを全世界の子どもたちに届けています。 

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近年、世界ではジェンダー平等が重要視されており、特に日本はジェンダー後進国として海外から批判されています。例えば、国会議員の女性の割合、家庭や職場での女性の立場などです。私はこれから、ジェンダー平等を達成する上で大切だと考える、相手を知り、考え、尊重することについて主張します。

私は小学1年生の時、お気に入りのランドセルを友人に「男の子みたいだね」と言われ、とても傷つきました。それはピンクの刺繍が入った黒いランドセルでした。

2年後、小学3年生で初めて地域の相撲大会に出場しました。入賞まであと一歩及ばず悔しい思いをし、リベンジしようと決意しました。しかし、男子は1年に2回大会出場できるのに対し、女子は1年に1回しか出場できず、男子を羨ましく思いました。「女子だからという理由だけで何かを我慢しなければならないのか」と憤りを感じました。

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現在私は、自由な校風で、生徒の自主性を重んじる高校に通学しています。高校では行事や委員会での役割が性別で判断されることが全くありません。

校長先生も女性なので自信をもって発言、行動することができます。不満に思うこともありません。しかし、まだこのような学校は少数です。この先、女性が活躍しにくい場面に出会うかもしれないと不安を感じています。

今年の夏、オーストラリアに短期留学をしました。実際に海外の学生と同様の生活を送ったことで、日本との相違点を発見しました。ほとんどの家庭では夫婦共に仕事をし、家事を分担していること。体育の授業は男女共に行い、ファッションが自由で個性あふれる学校であること。海外では性別による偏りがなく、可能性を感じました。

私たち日本人は、幼い頃から周囲の大人から「男は……」「女は……」という考えを教えられてきました。黒や青は男、赤やピンクは女、男は仕事、女は育児。当たり前のように存在していたこの考えは、なぜ未だに変化しないのでしょうか。

どうして日本と海外には意識の差があるのでしょうか。世の中には色々な人がいて、個性があり、性別で判断することは決してできません。周りに合わせる必要は全くないのです。女だからと我慢していたことと同じように、男だからという理由で我慢している人もいるでしょう。

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昔と比較すると、テレビ、インターネットの普及により、性に関する情報が発信されたことで、社会は少しずつ動き出しています。それは「知る」機会が増え、今まで悩んできた人々が、思いを共有し、励まし合うことができるようになったからです。しかし、そのような中でも、考えを改めることを放棄し、無意識な固定概念や偏見で相手を傷つける人もいます。結果として、それらを受けた人々は失望したり、自分の気持ちを押し殺したりするでしょう。

私の将来の夢はメディア関係の仕事に就くことです。メディアを通して他者の気持ちを救い、ジェンダーステレオタイプを無くすことで、平等な社会を実現したいと強く思います。私は高校生の自分にできることはまだないと思っていました。

しかし、校内スピーチコンテストに出場し、友人から、感動した、考えが改まった、などの感想をもらったことで、自身の少しの行動によって他者への社会問題の注意喚起ができると気付き、改心しました。ジェンダーに関する疑問を自身の経験を踏まえ、今後の環境を変えていくためのメッセージを自分なりに表現したもので、優勝することもできました。そこから、SNSを利用したジェンダー平等に関する投稿を行っています。

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これからの日本の社会でジェンダー平等を実現するためには、様々な人の視点から物事を捉え、自分であったら?と考え理解することが必要です。そのためにも、勇気をもって『声を上げよう!』『知ってもらおう!』そして、周囲の人の思いに耳を傾け、向き合いましょう。

私が日本社会でのジェンダーバランスの厳しい現実を知り、夢を諦めかけたとき、バービーがこの言葉で背中を押してくれました。
私たちは一人一人違う。だから未来に向かって自分らしく進んで行く!

「You can be anything (あなたは何にだってなれる)」