私の歴代の3人の恋人は、全員マッチングアプリで出会った人だ。それ以外の場所で恋に落ちることはあっても、実ることはなかった。学校で「かっこいいな」と思っても、だいたいその人には「彼女」がいた。それを後から知って、ひっそりと失恋していた。
だから、私にとってマッチングアプリは、「恋」を教えてくれた場所であるのだ。
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初めてマッチングアプリを使ったのは、今から8年前。まだ「出会い系?」なんて言われそうな感覚が私の周りではあった。大学生になって、1年たって、ちょっと慣れてきて。「恋がしたい」と思ってはじめた。
実家暮らしだったが、気恥ずかしくて、彼氏の存在もデートの約束も、嘘をつきとおした。でも、結局、「恋愛感情を維持させてつきあう」ということが良く分からないまま、初彼氏とは1カ月で別れた。キスはしたけど、身体が震えたままだった。
そこから大学生活が馬鹿みたいに勉強・実習・サークルで充実しまくり、アプリとは縁遠くなった。再開したのは社会人2年目の夏。色々あって心から言えた、「彼氏が欲しい」の願いがそこにはあった。
始めてみたら、いいねがすごくつく。学生時代の比じゃないくらい。自分で話したい男性を「選ぶ」ということをするようになった。付き合っていないからできる、複数の人とのやり取りの同時進行もしていた。
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そんな中で、1人の人との初デートの機会があった。夜のイタリアンを楽しみ、滅多に飲まないワインを頑張ってのんでいた。やり取りの中で、元卓球部である共通点も見つかった。何より、彼のタイプど真ん中に私がいたのだった。「黒髪ショートで、水色のワンピースが良く似合う子」私の今日の恰好・髪型そのままだった。体温が0.5度上がった。「もうちょっと一緒にいたい」と、一緒に夜の公園を散歩する。
ベンチに座り、猛アプローチをされ、キス。震えない。あれ?頭が混乱する。どうしていいかわからない。でも舞い上がっている自分がいる。寸前で、ホテルへの誘いは断ったが、「良かった、断ってくれて」と彼。
結局初デートのその日に付き合うことになった。デート自体は何度か重ねた。初めて「好きです」って言った。互いの家にも行った。でも、ある日のデートが楽しくなかったと、3カ月くらいで別れ話が一度彼からあった。その後話し合って付き合い続けることになったが、冬真っ盛りにLineでフラれた。
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その後も次の年の夏の終わりからマチアプをはじめ、2回目のデート後の電話で付き合い始めたが、結末は以前投稿した「フった理由、フラれた理由」に書いたとおりである。
「恋は盲目」なんてよく言うが、本当にそうだと思う。マッチングアプリを触るのは自分だけで、自分の気持ちが燃え上がってしまえばそのまま突き進んでしまうところがある。そもそも付き合っているとか、彼氏がいるとかいえば根掘り葉掘り聞かれるのが嫌だと思う自分のマインドのせいで、相談などすることもない。
ましてや、会って初日に付き合い始めました、なんて、言ったらどんな風に思われるのか恐れてしまって、このエッセイを書くまで誰にも言わなかった。
マッチングアプリで本当に素敵な出会いがあって、例えば結婚に向かう人や長く付き合う人も大勢いるのは知っている。ただ、私にとっては「未来を一緒に描けるパートナーを探す」ために必要な「通過点」だったのだ。
人を好きになる感覚をつかんで、どうやったらそれが継続できるか、互いの苦しいことしんどいことを分け合って支えられるか、それを学ぶ「場」だったのである。