私にとっての「あの子」とは、中学1年生からの友人の彼女。大人になった今では、1年に1回くらいの頻度で会う程度。もう、しばらく会えていないので、もうそろそろ会いたいなと思う今日この頃。
彼女の言葉や感情はとてもストレート。私が欲しい言葉をくれる子だった。だから、一緒にいて楽しかったのかもしれない。必要としてくれる、認めてくれいている、そう感じさせてくれた。
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彼女とは中学校で初めて知り合って、1年生の時に友人になった。どういうきっかけで仲良くなったかは、今となっては覚えていない。私が通っていた小学校は1学年1クラスしか無くて、6年間ほとんど変わらない顔ぶれ。中学校に上がって、1学年4クラスになり、一気に知らない子が増えた。
思い返してみると、1年間同じクラスだったというだけで、共通点もあまり無かった。彼女は、明るくてエネルギッシュでクラスのムードメーカー的存在、男女問わず誰とでも仲が良かった。そんな彼女が羨ましくもあり、同時にタイプの違う私を慕ってくれていることが嬉しかった。部活動が違えば、性格も好みも違う。運動が得意な彼女と、運動音痴でどちらかといえば勉強の方ができた私。私にしてみれば彼女はイケイケな感じで、彼女が普段他に仲良くしている友人グループは、私は苦手なタイプの子が多かった。
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不思議と、彼女といると何をしてても、どこにいても楽しかった。ただ座って話をしているだけで十分。彼女は話題が途切れない子で、うんうんと話を聞いている時間が楽しかった。
私が中学生の時は、まだガラケーしかなくて、中学1年生で持っている子もまだ稀だったと思う。だから、やり取りは基本、固定電話か手紙が主流。
毎日学校で会っているのに、毎日のように交換日記をしていた。交換日記にある好きなものランキングで、好きな男の子ランキングなんて書いたこともあった。毎回のように入れ替わるランキングに、今となっては、なんて浮気性なんだと思うけれど。○○くんと席が隣になったとか、話しかけられた、名前を呼ばれたとか、とにかく恋愛話が尽きなかった。
彼女は苦手なもの、好きなこと、嫌いなこと、得意なことがハッキリしていた。嫌味は感じられず、堂々と得意なことは得意と言い、私が苦手なことに対しても、気を使ってオブラートに包むと言うよりは、バカにした言い方ではなく、ネタとして笑い飛ばしてくれるような感じだった。だから居心地が良かったのだと思う。中学2年、3年となると、クラスが離れてしまい、一緒にいる時間は減ってしまったものの、変わらず遊んだり交換日記をしたりしていた。
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ずっと一緒に居たかったけれど、高校、大学はそれぞれ違う進路へ進んだ。卒業してからは、年に数回連絡を取る程度で、高校時代の彼女が大変だった時期、後からその事を知って、そばに居てあげられていたらと、もどかしかった。
大学生の時は、彼女は上京した。通っている学校の服飾系イベントに誘われて、久々に会う彼女は、東京生活ですっかり洗練されて、遠い存在になったような気がした。
確かに生活とか友人関係は全く違うけれど、でも、やっぱり話していると中身は変わっていなかった。
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今はお互いがどこにいても、SNSで何してると分かったりする。近いような遠いような。
出会った頃の、心は乙女だけどショートカットでスポーツマン、ボーイッシュな印象だった彼女と現在の彼女は、見た目や周囲の環境はすっかり変わった。今や一児の母で、オシャレが好きで。でも中身は変わっていない。
歳を重ねるにつれ、繊細で不安定で天邪鬼、社会不適合者なのでな無いかと思うほどに、良い大人にはなれていない私。気難しい私。
彼女は昔から楽観的というか能天気というか。長く一緒にいたのは、中学生の時だけなのに、何年経った今でも、会うと、凄いねとか頭いいよねとか私を肯定してくれる。何も凄くないのに。むしろ彼女の方が私に無いもの、私が欲しいものを沢山持っている気がするのに。
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大人になると色々なしがらみとか、妬みとか色眼鏡をかけた関係が増えてしまうけど、そういったものなしに、真っ直ぐ、ピュアな気持ちで向き合って仲良くなったから、今でも同じような気持ちで会えるのかな。
私にとって数少ない友人のひとり。大切な友人のひとり。
日々子育てに奮闘しながらも、楽しんでいる姿をSNSでみると、安心する。もしも困っていたら、力になってあげたいと思う。落ち着いたら、会いたいなあ。これからもずっと『あの子』と友人でいられますように。