よく耳にするが、「女性らしさ」とは何だろうか。スカートを履いて、ピンク色のものを身に付けて、髪の毛が長いことが女の子らしさ?大人になれば、結婚して家庭を築き、仕事を辞めて子育てをするのが女性らしさ?本当にそうだろうか。

◎          ◎

私は現在、大学2年の夏休みを迎え、インターンやアルバイトなど自分のやりたいことに熱中している。インターンでは、認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」で活動している。子どもにワクチンを届けることで、救われる命があることを実感しながら、インターンでの活動を通して、途上国の子どもたちの明るい未来を願うためには自分に何ができるのだろうかと模索している。

また、アルバイトではUNICEFのファンドレイザーとして活動している。途上国の子どもたちのために、街頭やショッピングモールで支援を募っている。私は将来、国際協力の分野で途上国に貢献したいと考えており、現在活動しているインターンやアルバイトでの経験が活かせると自負している。しかし、その活動においても、男性と女性の格差や、女性が働きにくい環境があるのではないかと思うことがある。

◎          ◎

例えば、アルバイトでUNICEFの活動をしているが、同じ会社に女性は私1人しかいない。朝から晩まで街頭に立って支援を呼びかけるのであるから、もちろん体力は必要であり、この仕事は男性の方が向いているのかもしれない。UNICEFの活動を好ましく思わない人もいらっしゃるため、支援を呼びかける中でUNICEFに対する様々な批判的な意見を浴びせられることもある。

そのような時に、苦情を言われるターゲットとなるのは女性で、私も活動中にUNICEFに対する否定的な声をいただくことがある。その時にいつも考えてしまうのは、「私が女だから、何を言ってもいいと思って色々言ってくるのかな」ということである。私は、社会や政治の分野においては、他の先進国に比べて日本の女性の進出は進んでいないと思うし、男性優位の考え方もまだ根強いのではないかと思う。私がUNICEFの活動をしていて批判を受ける対象となるのも、このような考え方が根底にあるからだと思う。

◎          ◎

私はインターンやアルバイトでの活動を通して、将来は途上国に行って国際協力や平和構築の分野に携わりたいと強く思うようになった。国連で働くことが物心ついた頃からの夢で、それは小学生の時に、後藤健二さんの「ダイヤモンドより平和がほしい」という本を読んで、自分と同じくらいの年齢の男の子が、子ども兵士として武器を持って戦場で戦っているということに衝撃を受けたことがきっかけだった。その頃から、将来は途上国に赴き、困っている人を助けたいと思っていた。

それと同時に、女性なら多くの人が経験するであろう「結婚して家庭を持つ」ということは、私の人生設計において重要なものとは感じられなくなっていった。途上国を飛び回って世界を知りたい私は、自分1人の力で何でもやっていけるという自信がどこからか溢れてきて、いつしか結婚や子育てよりも、自分のキャリアや本当にやりたいことを優先した方が、自分の生き方には合っていると思うようになった。

◎          ◎

しかし、私が結婚しないということに否定的な友人もいる。結婚して家庭を築き、子どもを育てることは女性の理想だと。そのことが女性らしさだと。私はその考えに疑問を抱いた。世界には80億人もの人がいて、80億通りの生き方がある。どのような生き方をするかはその人自身で自由に決めることができるはずだ。私は、自分が結婚しないと決めた経緯を友人に話した。友人は納得したような表情を見せたが、どこか腑に落ちないという様子だった。

私が結婚しないということを友人でさえ女性らしくないと言うのだから、社会に出た時に結婚していない女性というのはどんな目で見られるのだろうと不安に思った。また、私はあるイギリスのニュースで、ある有名な女性歌手が、30代になった今も結婚せず、子どもがいないことを否定的に報道されているのを見た。悲しいというよりも悔しい気持ちになった。結婚する権利があるということは、同時に結婚しないという権利も当然に認められるはずで、彼女はその選択をしただけなのに、と自分の気持ちを重ねてさらに悔しい気持ちになった。

◎          ◎

このような出来事から、私は「女性らしさ」とは、他人に決められるものではなく、自分自身で自由に時間をかけて決めるものだという考えに行き着いた。「女性らしさ」とは、誰かに決められるものでもなく、きちんとした定義があるわけでもないからだ。

私自身、「女性らしさ」がどんなものなのか分からない。そして「女性らしさ」よりももっと重要なのは「自分らしさ」だと思う。どんな服を着て、どんな髪型にして、何を思うか。どんな生き方をして、どんな自分でいるか。こういうことを考えるのが、「自分らしさ」の形成につながると、私は考えている。

私の友人の立場からすれば、私が結婚しないことは女性らしくないのかもしれないが、私にとっては私が結婚しないことは自分らしくいること、ただその選択をしただけ。このように考えれば、将来結婚しないことを誰かにとやかく言われることがあったとしても、自分らしくいるために必要なこと、と割り切って笑顔で話せるかもしれない。だから私は、「女性らしさ」よりも、「自分らしさ」を人生の軸として歩んでいきたい。