26歳の誕生日を目前に、生まれて初めて魚を捌いて揚げた。アジフライをつくった。
これまで「自炊してるの?」という問いには、いつも「まぁ。簡単には」とテキトーな返事しか返すことが出来ず、情けないなぁと感じていた。
簡単にといっても実際には料理とは言えないようなものばかりだった。
キャベツをピーラーでザザッと千切りにしたものをボウルの中でドレッシングと和えて、皿に移さずボウルに入ったそれをそのままキッチンで立ち食いしたり。レンジで蒸した鶏胸肉にクレイジーソルトをまぶしたものをフォークで刺して丸齧りしたり。
こういった“餌”のような食事ばかりしていた。
摂食障害を抜け出す6つのTIPS
餌のような食事ばかりしていた理由のひとつとして、高校に上がったころから「痩せたい」という願望が歪んだ方向へねじ曲がり、食べ物を吐き出すことが癖になってしまっていたというのがある。吐き出すものは大体高カロリーなものだから、それ以外の食事はなるべく質素なものにしようとしていた。
吐き出す癖は痩せ願望からだけではなく、外には出せない自分のドロドロとした感情や言葉を食べ物と一緒に吐き出す手段として繰り返していた。食べ物を詰めている間は、衝動に駆られて自分の意思ではまったく止められない。吐き出している間も涙や鼻水でぐしゃぐしゃになり、洗面台で自分の顔を洗うとき吐瀉物で口元が汚れた自分と目が合い、行き場のない悲しみが込み上げてくる。
家での食事が怖かった。
しかし、約10年この厄介な癖と戦ってきたけれど、ここ数日ほぼ吐いていないことに気がついた。
こんな自分から抜け出したいと、色々と試行錯誤してきた成果がでてきたのだ。
・良質な睡眠をとることに命をかける
・食事以外の好きなもので自分を満たす
・自分を否定してくる人から逃げる
・好きな運動だけ続ける
・禁止食品をつくらない
・食事を目で楽しむ
これらを続けることにとにかく集中した。
私のストレスの矛先は知らないうちに愛する者へと伝染していた
継続できたのはうちで飼っている猫の影響が大きかったと思う。
うちの猫は軽い食物アレルギーを持っており、餌が合わなかったりすると目の周りが赤くなる症状が出てきてしまうため、細心の注意を払っていた。しかし食事療法を試しても、効果があるときと効果がでないときがあり困っていた。
年が明けてから写真フォルダを整理しようと思い、猫の写真を見ていると赤みが出てきているときの共通点が見つかった。わたしの精神状態が落ちて過食嘔吐が止まらなくなっているときに猫の目の赤みが悪化していたのだった。本当にショックだった。
自分のせいだったとするならばこれでは動物虐待ではないか。自分を傷つけると同時に大好きな猫まで傷つけてしまっていた。
これには深く反省し、大切な猫のために自分を労ることに徹した。そして今では猫もわたしも心身ともに健康的に暮らしている。自分を大切にすることが猫を大切にすることに繋がった。
これまでは自分をぞんざいに扱ってきたため、自分の食事のために魚を捌いて油で揚げるなんて手間のかかったことはする価値がないと思っていた。揚げ物を食べることにすら少し抵抗があった。
だからそんな当たり前の食事ができた今日がとても嬉しい。
傷つけてしまった愛猫、そして過去の自分。本当にごめんね。
これからはこころの赴くままに食事を楽しもう。