ディズニーランドに行く前夜は決まって眠れない。かろうじて眠れたとしても2~3時間ほど。「眠れた~!」という体感は、ないに等しい。

ディズニーランドは子供の頃、家族で訪れていた。遠方なので、そう頻繁に行くことはできない。私は、子供の頃からディズニーランドが大好き。パークへ足を踏み入れた瞬間、嬉しすぎて、まるで夢のよう。

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ところで、私は一人で何かをすることにさほど抵抗がない。一人焼肉。一人カラオケ。最近、こういった「一人〇〇」という言葉を耳にする。言葉の通り、一人焼肉なら、一人で好きな肉を焼いて食べるのを楽しむ。一人カラオケなら、一人で好きな歌を歌ったり、BGMを聴いたりして楽しむ。おそらく、何かを「純粋に楽しむ」ことが一人の醍醐味だと私は思っている。私はそんな一人で純粋に楽しむ行為が好き。友人と会うこともあるが、それとはまた違った醍醐味がある。例えば、同じことをする、あるいは、同じ場所に行くとしても、自分一人で行く場合と誰かと一緒に行く場合とで、目的(対象物)に対する捉え方が違ってくる。

大好きなディズニーランド。私は、いつしか一人で行ってみたいと思うようになった。普段、カラオケやショッピング、美術館など、ありとあらゆるところに一人で出かけることに対して全く抵抗はないが、ディズニーランドは自宅から遠く離れていることと、テーマパークに一人で行くことは、私にとってハードルが高かった。それゆえ、なかなか実行に移すことができなかった。しかし、昨年、ちょうどディズニーランドのアニバーサリーイヤーということもあり、意を決して一人で行ってみることに。

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前日の夜。不安はそこまでなかったけれど、興奮してあまり眠れなかった。ディズニーランドに行く前夜ほどワクワクして眠れない夜はない。この時点で、すでに私の旅は、ひそかに始まりを告げている。

そして、いよいよ当日。新幹線に乗っている間、前日分の不足している睡眠を補うかのように目を閉じる。けれど、ここでも眠れない。目はつぶっているものの、体は起きている。そうこうしているうちに、ついにディズニーランドに到着。私は着いた瞬間、感動で涙が止まらなかった。「ああ、ついに一人で来たんだ!」と心の中で叫んでいた。

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入園後は、キャラクターと写真を撮ったり、レストランでゆっくりご飯を食べたり、パレードを鑑賞したり。存分に楽しんだ。私は一人で満喫していることに何の違和感もなかった。むしろ、尻込みしていたのが幻のようだった。実際、一人で来園している人も、ちらほら見かけた。一人で来園することは、さほど珍しいケースではないように感じられた。この人たちも、きっとそれぞれの楽しみ方でディズニーランドを満喫しているんだろうなと想像を膨らませていた。

この経験をきっかけに、その後も私は一人でディズニーランドに行くようになった。それが、数か月に一度の大きな楽しみになった。誰かと一緒に行くのも良いけれど、必ずしも、そうじゃなくて良い。一人で行きたい時は一人で行っても良いんだと気づくことができた。

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不思議なことに、一人ディズニーランドを経験してから、今まで以上にディズニーランドが好きになった。それは、今までは見えていなかった魅力にたくさん出会えたからだと思う。期間限定のディスプレイに注目したり、季節の花に目を向けたり。人と会話をしない分、景色やモノと向き合う時間が増えたのだ。時間を気にせず、ゆったりと楽しめるのも一人ならではの特権。

私はあの時、勇気を出して自分の思いを行動に移して本当に良かったと思う。前日に興奮して眠れないのが玉にきずだが、「一人ディズニーランド」という新たな楽しみが増えて、なにより嬉しい