ぎゅっと握りしめられたような収縮感とキリキリと突き刺さるような痛みに目を覚まし、自身の身に何が起こったのか察する。たいていそれは起床の一時間前、朝の5時台に襲いかかり、エルペインを飲みに台所に出向き、またもといた寝室ヘと戻る。起床する頃には薬が効いてくるのが不幸中の幸いで、鎮痛剤と下痢止め薬がポーチに入っていることを確認してから出勤をする。

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ここまで読んで下さった女性の方は、私の身に何が起こり、どうした病気に悩まされているのか察しがつくだろう。そう、私は機能月経困難症の当事者である。

月経困難症とは、名前の通り月経が日常生活に支障を来すほどの病的な症状のことをいう。原因となる疾患を有さずホルモン分泌等によって引き起こされる機能性のものと、子宮内膜症や子宮筋腫といった原因となる疾患により引き起こされる器質性のものとに大別され、前者は10代後半から20代前半までの若年女性に、後者は30代以降の中年女性に多いと言われている。有名な症状としては下腹部痛が挙げられるが、その他にも腰痛や吐き気、下痢、肌荒れ等現れるものは様々である。私自身も20代のうちまでは、専用の鎮痛剤を持ち歩き、下腹部痛を緩和させることで日常生活を送ることができていた。

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様態が急変したのは30代に突入した昨年のことだった。突然勤務中に下痢のような症状に襲われトイレと自席を何度も往復し、最寄りのクリニックを受診するとウイルス由来の感染胃腸炎であることが分かった。それまで胃腸炎にかかったことがなく偶然かなと気にせずいると2ヶ月後にも同様のことが起こり、女性ホルモンの過剰分泌を要因とする機能月経困難症の診断が降りた。それ以外にも30代への突入で一気に体質が変わり、食べられる量が制限されるとともに何度も胃腸炎にかかった。職場には胃腸炎なのでと伝えて仕事を休み、気付けば繰り越した有給を使用するまで頻繁に仕事を休むほど、症状は深刻化していた。

これ以上職場に迷惑かけられないと思い、受診したことのある病院を含めて近場の総合内科を複数件当たるが、その全ての病院が低用量ピルの処方をしておらず、近場の乳腺外科も対象外だった。私の住む街には産婦人科がなく、低用量ピルの処方を行う病院はなかった。近年、産婦人科は少子化の影響で閉院が相次いでいるが、一方で出産回数の減少により子宮内膜症等の婦人科系疾患を患う女性は増加し、それに伴い月経困難症に悩む女性も増えていると聞いた。にも関わらずそれに対応した病院が産婦人科のみとなっているケースが大半で、内科を名乗るのであれば出産以外の女性の疾患に対応してほしいと感じるところだ。

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このテーマが発表されてからすぐの911日には生理休暇がトレンドに挙がっており、ツイートを探ると公言しづらいという声が多数寄せられていた。私自身も併発した方の胃腸炎と言って有給を消化し、名前変えれば使えたのにと思いながら一人ではないことに勇気づけられると同時に、せめて「体調不良休暇」と言えれば良いのにとも思った。

女性の社会進出が求められている今日において、働きながら体調不良に悩まされる女性が増えることは大いに予想される。今後の日本社会は、産婦人科以外でも女性の体調不良に対応した病院が増えることや、生理ではなく体調不良として取得できる休暇が確立すれば良いと思っているところである。