「仕事と育児の両立」

子どもを育てながら、特にフルタイムで働く女性の多くが、この姿を目指し、またこの姿と自分の現状との差を嘆いた経験があるのではないだろうか。産後1年3ヶ月で職場復帰した私も同じくである。特に1年目は度重なる保育園からの呼び出しで頻繁に仕事を抜け、お迎えの時間が来れば「お先に失礼します」と席を立ち、やりたいところまで仕事ができないもどかしさを感じながら、あっという間に復職から1年半を迎える。

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それでも、親世代が私たちを産んだ平成初期などと比べると、随分と子を持つ母が働きやすい時代になったと思う。
育休を始めとした様々な制度が充実してきたし、男性の育児参加というのが、今や言うまでもなく当たり前の時代になってきた。子持ちで働く女性、いわゆるワーママが増えたから、周囲の人も、子育て中の女性(男性もだが)がある程度仕事をセーブしつつ働く、ということを自然に受け入れるようになったのだろうな、とも感じる。
「子育てを理由にキャリアを諦めない」は、目指すべき、そして充分に実現可能な姿とされるようになった。

と言えども、どうしても二項対立的になりがちなこの「仕事」と「育児」のバランスを、常に自分の最も心地良いところで保つのは、本当に難しい。子どもの年齢や家族の事情など、状況が絶え間なく変わる中で、その都度丁度いいバランスを見つけることに壁を感じている女性は、少なくないのではないだろうか。

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私は、自分の意に反して仕事のウエイトが重くなるのが不本意だった。時短制度を利用して、出産前と同じ仕事に復職したけれど、段々と仕事は増えていった。仕方なく夫がいる日は子どもの保育園のお迎えからご飯、お風呂、寝かしつけまですべて任せ、ついには時短勤務にも関わらず、子どもが寝てから帰る日も。
こんな働き方をしたいのではないとずっと思っていた。

自分で選んだ復職の道。しかし、気付いたら疑問を持っていた。
「私は、そうまでして働きたいのだろうか」
子育てをしながら、安定した雇用状態で、給料をもらえるのはありがたい。分かっているけれど、本当は、私の人生の時間を、もっと子どもと一緒に過ごすことに充てたいというのが素直な気持ちだった。少なくとも、子どもが2歳である今のうちは。

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だったら退職するなり、仕事を減らしてもらうなり、可能なら異動させてもらうなり、行動を起こせばいいのだけれど、なかなか勇気が出なかった。私が仕事を減らしてもらったら他の同僚に迷惑がかかる。「子持ち様」なんて言葉も出てくる時代だ。何を言われてしまうだろう。でも退職したらせっかく入れた保育園を退園しなければいけない。転職だってうまくいくとは限らない。どの方向に行っても不安ばかりが先に立ち、結局、現状に甘んじる状態が続いた。

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けれど、やっぱり何か変えたくて、調べていくうちに、今のご時世、在宅だとか隙間時間の副業だとか、いくらでも育児をしながらの働き方はあるらしいとわかった。現状よりも不安のない働き方はない、という前提で、知ろうとしていなかっただけなのだ。
そのうちに、在宅で、自分のペースで「書く」ことを仕事にしたいという夢が見つかった。まだ働き方を変えるまでには至っていないが、今はそれに向かって少しずつ歩み始めている。その働き方がすぐに軌道に乗るとは限らないけれど、小さい子を持つ母である自分もいろんな働き方を探せることに気付いて、随分と気持ちが変わった。

ライフイベントに応じて、そのとき常に一番心地良いバランスの働き方を探す、そんな価値観がもっと当たり前になればいいなと思う。女性がライフイベントを機に仕事を辞める時代が変化し、働き続けるのが一般的になった。私はそのもっと先に、どんな働き方でも不安なく過ごせる、それを選ぶことが当たり前になるような時代をつくりたい。10年後の女の子たちが、不安や引け目を感じることなく、自分の現状に合わせて働ける時代が来てほしい。そのために、私はこれから、そんな働き方を体現していきたい。