謎の憧れを募らせている地域がある。関西だ。
私は、関西地方で暮らすことに意味もなく憧れている。

ちなみに、私は生まれてから現在までの25年間、ずっと北海道の札幌市で過ごしてきた。
札幌は良いところだと思う。人が多すぎないし、ほどよく栄えている。飲食などのチェーン店もそれなりには揃っているし。
ただ、冬が辛い。子供の頃よりも大人になってからの方が寒さと雪にやられてしまっている。前の冬なんて元気な日の方が少なかった。寒くなってからのことを考えると、自信を持って良い土地だと言い切ることは出来ない。

◎          ◎

あと、若いうちに札幌以外の土地で暮らしてみたい、という気持ちもある。札幌と同じくらいか、もっと都会のまだ見ぬ土地で。

関西地方には、旅行で3回訪れたことがある。
1度目は高校の修学旅行。2度目は大学時代、男性アイドルグループのNEWSファンの友達に連れ添ってカウントダウンコンサートに。3度目は社会人2年目の春、3泊4日で京都と大阪を巡った。

◎          ◎

最も関西に惹かれたのは、2度目の旅だったように思う。
まず、道民というのは冬に雪が積もっていないというだけで感動してしまう。1230日、とっくに真っ白になっていた札幌とは対照的に、大阪のマチではコンクリートが露出していた。年末なのに秋のような雰囲気で、嬉しくなってしまった。
これに関しては雪国以外の地域ならどこでも同じことなのだろうが、私が関西へ良い印象を抱いた原因の1つにはなった気がする。
あとはちょっと説明しづらいというか、感覚的なことになってしまうのだけど、マチや人々の雰囲気に好感を持った。親切にしてもらったとか、すごくキレイな景色を見たとかではないのに、なんだか惹きつけられた。

そこから淡い憧れを募らせて、就活の際、たまーに関西の企業も調べることもあった。就活サイトの検索条件で地域を関西に設定して見たりして。全国に支店がある企業を受けるとき、そのなかに関西の支店があると、ちょっと嬉しかった。

◎          ◎

しかし、結局は見知った地域の方が安心する。関西の地名を聞いても全くピンと来ないけれど、北海道ならイメージはつく。実際に応募したり選考に進めた企業はほとんど道内だったし、最終的に札幌の企業に就職を決めた。

私は今年で26歳になる。今後どのような人生のイベントを通っていくのか、まだ分からない。とりあえず現在は独身だし、面倒を見る必要がある家族もいない。違う土地での生活を体験するなら、早いに越したことはないのだろう。
でも、一歩踏み出すには今の札幌の勤め先が気に入りすぎている。仕事内容も、環境も。ラッキーすぎるくらい自分に合っている。これを捨てる勇気は、今の私には無い。

いつか会社が倒産するか、クビを切られるか、左遷されるかでもしたら、関西に移住しよう。
消極的かつやる気の無い構想を抱きつつ、私は今日も札幌のマチでのんびりと過ごしている。