私は生きていくなかで、「え?何で?」と思う場面に直面することがある。それが偶々起こったことで、それ以後起きることがなかったならば、何も疑問に思わなかったかもしれない。けれど、度々続いて起こるとやっぱり「はて?」と思ってしまう。

みなさんは「ぶつかりおじさん」を見聞きしたことがあるだろうか。私は何度も「ぶつかりおじさん」に遭遇したことがある。別に私が当たろうと思って歩いているわけでもないのに、向こうからわざわざ衝突してくるのだ。一体なぜ「ぶつかりおじさん」はぶつかってくるのだろう。

◎          ◎

私は「ぶつかりおじさん」だけではなく、「ぶつかりおばさん」や「ぶつかりお姉さん」にも遭遇したことがある。
私が遭遇した「ぶつかりおばさん」は、手荷物が多いのにドカドカとぶつかってくる。こちらが手荷物を避けきれずにぶつかって、睨みつけられることもある。一方で「ぶつかりお姉さん」は、自分が肩にかけているブランドバックを満員電車の中でドカドカぶつけてくる。まるで「私の近くに寄ってくるんじゃねぇ!」と言わんばかりに、満員電車にも関わらずバシバシとバッグでぶつかるので、あざができたこともあった。そんなに満員電車が嫌なら、公共交通機関を使わなければいいのに…とも思う。

◎          ◎

だから、ぶつかるのが男性だけとは限らない。老若男女問わず、ぶつかる人はぶつかってくる。ぶつかる人は謝らないし、自分が悪いと思ってはいないようだ。

でもこのなかでも一番危ないのは私の経験上、「ぶつかりおじさん」である。
私はいきなり後ろからぶつけられて転びかけたことがある。前から人が来たらもちろん避けるので、向こうがぶつかってこようとしても事前に避けることができる。しかし、後ろからぶつけられたら、避けることができないのだ。
以前、SNS上でものすごい力で女性にぶつかっている「ぶつかりおじさん」を目にしたことがあるが、この「ぶつかりおじさん」は女性が怪我をして命を落とす危険性をおそらく一ミリたりとも考えていないのだろう。自分はただ「ぶつかっただけ」で、もし相手が転んだとしても向こうのせいだと思っているから、ぶつかることの危険性を考えないのだろう。

◎          ◎

こんなエッセイを書くと、「ぶつかる方にもなにか理由があるのではないか?」のように、まるでいじめられた人間にいじめられる原因がある!みたいな発言をされそうだ…。
私はただ歩いていただけで、人とぶつかりそうになったらもちろん避ける。時々、避ける人同士が「あれ?こっちにいく?あれ、こっちか?」とバッタリ右往左往して、まるでお見合いみたいな状態になることもあるが、決してぶつかりはしない。「あ、すみません…」とお互い会釈をして立ち去るのみ。
ぶつかる方がいけないのに、何故かぶつけられた人に原因がある!といった考え方に、私は「はて?」と思う。

「ぶつかりおじさん 対策」「ぶつかりおじさん 心理」の言葉がインターネットの検索欄に出てくるということは、人々はぶつかる人に関心を持っているということだ。
多くの人も私のように「はて?」と感じているのだろう。
この小さな「はて?」をスルーせずに、これからも生活していきたい。