人生では、調子が良く楽しい、何もかも上手く行くと思える瞬間と、逆に調子が悪く、憂鬱で、何も出来ないと思える瞬間があると思う。個人差はあると思うが、少なくとも私はそうであった。
社会人になり、仕事が大変になったり、コロナ禍になり、それまでは定期的に遊んでいた友達と会えなくなったりした。コロナの影響で、外出もほとんど無くなった。福祉職で働いている事で、コロナ対応に追われる日が続いた。毎日、ストレスと疲労が溜まり、何の為に生きているんだろう、何をやっているんだろう。と感じる事も多くなった。
◎ ◎
家族に相談した事もあったが、そんな事で悩んでいるなんて贅沢でしょ。もっと大変な人なんていくらでもいるのに。と言われてしまった。
自分でも、こんな事で悩むなんて……。とは思っていたが、はっきり言われてしまうと落ちこんでしまった。その一方で、じゃあ今自分の気持ちとモチベーションを保つ為には、何が出来るか一度ゆっくり考える事にした。
そうする事で、ネガティブ思考がグルグル巡るのを止める事が出来ると思ったからだ。コロナ禍は、特に自宅で過ごす時間は多かったので、落ち込む気持ちを止めるために、一度自分に、今の現状に同き合ってみる事にした。そして、家族、友達、自分に出来る事、したい事をノートに書き出した。
◎ ◎
まず友達に贈り物をしたい、普段の感謝を伝えたと思った。その為に、私は今までの思い出の写真をアルバムにし、手紙とメッセージを形が残り、手に取って見てもらえるように友達一人一人に贈った。贈った友達からは、ありがとうと連絡が来て、会えないけど嬉しい気持ちになった。
家族には、美味しい物を作ったり、暇をつぶせる贈り物がしたいを思った。普段作らないお菓子の作り方を調べて、練習して食べてもらったり、ゲーム機や本を贈った。皆で、手作りのお菓子を食べたり、ゲームをするのは楽しかったし、家族の絆が深まったと感じた。
自分は、近所をウォーキングし健康維持をし、新しい趣味を探す事を目標にした。
体を動かすと少し気がまぎれたし、趣味探しは数ある趣味の中から自分に合う物を探すのは楽しかった。
しかし、コロナ禍での入社という事もあり、いつまでも仕事も私生活もコロナに縛られ続けるのは苦痛であった。だんだん時間が経つにつれ、精神的に限界を感じていた。
◎ ◎
そんな中、私自身がコロナにかかってしまった時期があった。のどの痛み、せき、鼻水、倦怠感、発熱で動けなくなり、家の中でも、家族との隔離生活が続き、狐独感に襲われた。数日間、安静にしながら療養している中、ネットニュースで衝撃的な内容を目にした。
コロナが流行り出して数ヶ月頃の事、医療従事者とその家族が酷い差別を受けているものだった。医療従事者とその家族が、利用出来るはずのサービスが理不尽にも受けれなかったり、人から避けられたり、中傷の言葉を投げ掛けられたりしたというものだった。
私は、大きなショックを受けた。自身が、同じ様な職種だったというのもあり、自分も周りからそのような目で見られているのではと不安になった。その日から、コロナ感染していた事もあり、気持ちが沈んで何も出来ない日々が続いた。
一生懸命人の為に働いているだけの人が、どうして阻害され無ければいけないのかと、社会に虚しさと憤りを感じた。いくら得体の知れない病だったとはいえ、恐れと不安はここまで人を、社会を狂わせるのかと絶望した。そして、早く元の日常生活に戻りたいと強く願う事しか出来なかった。
◎ ◎
あれから数年経ち、いつの間にかコロナは身近で、治療法も確立された身近にありふれた病となった。治療法が分からなかった頃とは、状況や環境が打って変わった。数年前のコロナ禍では、考えられなかった事だ。一度、非日常を味わい、立ち止まった私は、日常のありがたさ、日常がある事が当たり前では無い事を痛感した。
友達が居る事、家族がいる事、今生きている事が奇跡であり、何事も感謝しなければならないと思う様になった。
自然災害、戦争、貧困問題等が、世界では日々起こっている。世界で起こっている問題に目を向け、日常生活の事だけで無く、まず社会問題について深く考える事が重要だと思う。
ただひたすら、何も考えずに日常生活を送るのもその人次第である。
しかし、私は一度立ち止まり、今出来る事、感謝している事について考える時間を作りたい。
◎ ◎
今この瞬間がある事が、当たり前では無いと思うから、一分一秒を大切にして生きたい。
時には、何も出来ない、やりたくないくらい落ち込む事もあるだろう。しかし、歩みを止めながらも命、人生、社会に向き合おうとする姿勢が、1人の人間として私を成長させ、その歩みが社会を変えていけるかもしれないと信じている。
無力感を日々感じつつも、人生を通して私がこの世に生まれた意味をこれからも探し続けたいと思う。人生を楽しむ為、人と支え合い助け合う為に、日々行動していきたい。一度きりの人生だから後悔の無い様、時に歩みを止めつつも、私や周囲の為に全力で出来る事に挑戦しながら、1人1人の命に真剣に向き合って生きていきたい。