私がごきげんでいられるのは、1人の時間と美味しい食べ物のおかげだ。
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1人の時間は、自分の気持ちに正直に過ごせる時間である。落ち込むことがあったとき、ムカつくことがあった時、マイナスから0に戻してくれる。美味しいものは、0に戻った気持ちをプラスに変えてくれる。どちらも欠かせない。
不機嫌になってしまうのは、誰かに何かをされた時が多い。自己嫌悪や自分自身の失態で落ち込むことよりも遥かに機会がたくさんある。最大の原因である、誰かと関わることから遠ざかり、とにかく負の感情を出し切るとでやっと溜め込まずに過ごせるのが私の特徴だ。
感じた負の感情は、できればその場で解消してしまいたいくらいである。心の中に思ったことは、今すぐ消化できなければさらに真っ黒な負の感情として溜め込まれる。仕事で嫌なことがあれば、帰り道はいつもに増して仏頂面をしているだろう。疲れているだけよりも尖った思いを見え隠れさせ家路についていることであろう。
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怖い顔をして歩いているくらいの不機嫌は、自分にしか直せない。ストレス発散に誰かとご飯に行く人もいるが、誰かと会って気が紛れた実績は私の中ではいまだにないのだ。1人の時間を思う存分設けて、家から出ずにテレビやスマホに依存してみたり、行きたかった場所に出掛けてみたりする。目に入れる情報を更新することで嫌な出来事を古い記憶にする。時間が気持ちを落ち着かせてくれるあの現象を疑似体験させるのである。疑似体験をしなければ、ずっと表面に不機嫌がいるまま離れない。早く気持ちを落ち着かせるためにはマストな時間なのである。
また、この時間で新しく解決策が見つかったこともある。深く悩まなくてもよいとわかった瞬間は目の前が開けたように明るい気持ちになり、一気にごきげんになれる。気持ちを軽くするためにも、解決策を見出すためにも、1人の時間は必要なのがわかってもらえるだろう。
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さらに気分を上げてくれるのが、美味しいごはんだ。好き嫌いなく食べるタイプなので、大好物がたくさんある。ハンバーグやお寿司、焼き肉といった特定のメニューではなく、味の方向性が大切なのだ。好きなのはほっこりする味。出汁の香りは重要なポイントである。食べていて心が落ち着く味や食事に出会えると、リフレッシュできたと感じる。おにぎりと豚汁、出汁茶漬けや和定食が欲しくなる。おでんや煮物など、母の味も欲する。味が濃く食べ応えのある食事も良いが、リフレッシュしたいとき、自分のごきげんを取るときはほっこりする食事がいい。心から美味しいと感じられたとき、心身ともに幸せを感じるのだ。
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これら2つのうち、どちらかだけでも不機嫌から立ち直れるだろう。1人で好きなことをするか、美味しいご飯を食べるか、どちらかをすれば明日仕事には行けるだろう。しかし、完全復活とまではいかない。仕事はできても、ストレスは溜まる一方だ。ストレスを感じやすくなる状態は変わらない。
ごきげんになり、明日からまた頑張ろうと思えるのは、1人の時間と美味しいご飯をどちらもクリアできたとき。ごきげんになる方法が2段階なのはめんどくさい人かもしれない。なにか1つだけで気分が晴れるのであれば、私は苦労していないだろう。私をごきげんにさせることが難しく、自分自身でもかなりケアをしてあげないといけないと思う。私はいろんな人よりも手が掛かる人だ。自分を見つめ直したときに気づいた。
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最近では、ごきげんでいられるように意識をしている成果が出てきたのか、コントロールできる日も増えてきた。自分の機嫌は自分で取る。できるようになれば、生きやすくなるのだろうか。少しだけ社会に歩み寄れるきっかけになるのだろうか。そんな難しいことを考えてしまう日もあるけれど、とりあえず気にせずに生きてみようと思う。私がごきげんでいられる理由である1人でいられる時間と美味しいご飯を楽しみながら。