最近、Xのトレンドに私が好きな某プチプラコスメブランドの名が上がっていたので何か新商品でも出たのかなとワクワクしながら覗いたら、一部の女子高校生たちの間で同ブランドVSデパコス論争が繰り広げられているようだった。

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なぜ人は対立構造を愛してしまうのだろう。私も結構身に覚えがある。

彼女たちは、デパコスを持っていないと不安なようだ。プチプラコスメと呼ばれる低価格帯のコスメが化粧ポーチの中の比率を多く占めていると、負けだと思うらしい。
「みんな違って、みんないい」という金子みすゞの言葉を、欲望だらけのくだらないバラエティなんか放送してないでテレビで全国放送すればいいのにと思ってしまう。思ったより価値観の刷り込みは深刻だ。資本主義・物質主義・競争社会の弊害だろうか。

私自身はといえば、どちらも愛している。同ブランドのプチプラアイライナーは他のブランドにはない色展開と色持ちの良さが特徴的で浮気しても戻ってしまうくらい欠かせない存在になっているし、デパコスのリップは持っているだけでテンションが上がると思う。

確かに、ハイブランドのバッグを持って街を歩くとなんだかイケてる女になった気になって、普段よりも自信が持てるような感じはする。でもそれはあくまで"感じ"である。
心の底から自信が持てればきっと武装なんてしなくたって、私であること自体を喜べるはずだから。
ハリボテと言っちゃすごく失礼だけど、モノはいずれ誰かが作った"流行"おくれになって価値が永続するなんてことは滅多にないし、実際に朽ちていく。

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一点豪華主義で良いと思う。ポーチの中に、「これ!」という自分が決めたものを入れてそれを見て使って悦に浸れれば、万々歳ではないか。そのブランドの歴史や背景を知った上で吟味すれば、満足感はもっと上がるしそんなに大量には必要ない。
「コスメもバッグも洋服も全身ハイブランドでーす」なんてのに憧れていたら、夜職を志さなければやっていけない。本人の選択だしそれを悪いなんて何も挑戦しない私には断罪する資格はないが、大切なものをいくつか失うということは頭に入れておいた方がいいと思う。

過去というのは、変えることができない。一度夜の闇に呑み込まれそこに身を委ねてしまえば、もう完全に元に戻ることはできない。

今は高校生のうちからキャバ嬢を目指しているという人もいるらしい。でも、それは何のためなのか?みんなと同じハイブラのコスメやバッグが欲しいからなのか?整形してカメラ映りのいい顔になりたいからなのか?今までの自分の歴史を塗り変えてまで欲しいものなのか?ということを、若い女の子たちに考えてみてほしい。魅力的な広告の文言や口コミによって、欲しがらされているだけかもしれない。

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コスメやバッグの一つや二つ、お金を少し貯めればアルバイトでだって買える。今の時代、フリマアプリで中古で買うこともできる。生きてりゃそのうち手に入るものだ。
書いていて、自分で「お前は何様だ?」と思った。でもこの思想を伝えることを後悔はしていない。
大事なのは買い物一つとっても自分の主義をある程度固めることだと思う。実践できるできないは別として、一種の信仰心のようなもの。何が幸せかなんてもうわからないけれど、本当の幸せは愛と体験にあるはずと信じていたい。

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ここでは敢えて対立っぽく書くがプチプラコスメも愛しているし、デパコスも愛している。100均も愛しているし、伊勢丹も愛している。それでええじゃないかと一消費者の私は思う。同時に、「彼女たちが迷わないといいな」と、ひどく悩み迷った経験のある私は願うばかりだ。