困った時はお互い様。騒然とする店内で気付いた「傍観者」の多さ
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私はコンビニエンスストアでアルバイトをしているごく普通の大学生である。コンビニエンスストアで働いていると、様々な人がいることを実感するが、中には少し変わった人も買い物に訪れることがある。
先日、そんなアルバイト先で一生に一度経験するかどうか珍しい、できれば二度と経験したくないような体験をした。
私はその日、いつも通りレジを打ってお客様の対応をしていた。そこにひとりの高校生がやってきた。その高校生は商品を買うために私のレジに来てお会計を始めた。すると、ひとりの中年の男性がやってきて、高校生に対して急に怒鳴り始めたのだ。
「何にやけてんだよ!なめてんじゃねぇぞ!」というような思いつく限りの暴言を中年の男性は吐いており、高校生も委縮してずっと謝り続けていたのだ。私は高校生のレジ対応をしていたので、高校生がその男性に何もしていないのは知っている。何もしていないのになぜ彼は男性に対して謝らなければならないのか、なにより彼がずっと暴言を浴びせられていて気の毒であった。店内も騒然としはじめた。
私は「今にも泣きだしそうな高校生を守らなければ…!ここで守らなかったら彼の心に一生の傷ができてしまう」と思った。
私は意を決して中年の男性に声をかけた、「お客様、高校生は何もしていないですし、店内で騒がれると大変迷惑ですので、警察を呼びますがよろしいでしょうか?」と。すると、その男性のターゲットが私に変わったので、その隙に高校生を逃がした。
ただ、レジ越しで私に永遠と暴言を吐き続け、今にも殴りだしそうな勢いであったので、とても怖かった。私刺されるかもしれない、とも思った。それと同時に、私よりも年下の高校生はこんな恐怖に耐えていたのかと思うと、もう少し早く声を掛けていればとも後悔した。
途中でお客様が呼んでくれた警察が来てくれて事態は収まったが、本当に怖い思いをして、その日の帰り道は両親と電話をしながら帰るほどであった。
私も一生忘れられないであろう恐怖を体験したが、男性に声を掛けて高校生を助けたことは後悔していない。次も同じようなことが起こったとき、できれば起きて欲しくないが、その時も勇気を出して助けようと思った。
ここで私が伝えたいのは、「傍観者」の多さである。私よりも年上の人は店内にたくさんいたし、女子大学生である私より強そうな人も多くいた。それにもかかわらず、手を差し伸べてくれた人は、声をかけてくれた人は1人もいなかったのである。
警察を呼んでくれたお客様でさえ私と同い年ぐらいの女性であった。彼女が勇気を持って警察を呼んでくれたのである。数に物を言わせるという言葉があるように、助けてくれる人が多いほど、加害者側も委縮するので、被害の食い止めに繋がる。
他人事ではあるかもしれないが、誰かによって怖い思いをしている人がいたら、勇気と優しさを持って、より多くの人を助け、被害を最小限に抑えるために行動したり、声を掛けたりしてほしいと思う。
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