内気な私が「もっと話したい」と心から思えた韓国人留学生との出会い

「혹시 한국 사람이에요…? 저는 지금 한국어 공부 중이라서 괜찮으시면 친해지고 싶어요! (もしかして韓国の人ですか…?私は今、韓国語を勉強中なので、良かったら仲良くなりたいです!)」
2024年、私が最も勇気を出した瞬間は、きっとこの時であろう。普段、内気で家族や友人以外の人との会話を苦手とする私が自分から、しかも外国語で韓国人留学生に話しかけたのだ。「어? (お?) 韓国語喋れますか!?」突然自分の母語で話しかけられた彼女は、目を丸くしてそう答えた。「네! 간단한 단어라면, 듣기는 조금만 할 수 있어요! (はい!簡単な単語なら、聞くことは少しだけできます!)」私は拙い韓国語でなんとか言葉を返し、その後5分ほど会話を続けた。
私は感動した。これまで、ほとんど外国語で会話をした経験がなく、ましてや英語以外の言語でそれが叶うとは思っていなかったからだ。母語である日本語では意識しない、一つひとつの単語を思い出し、それを組み合わせて文章を作るという作業は、神経を使う分、新鮮で楽しかった。そして何よりも、普段は初対面の人に話しかけることの少ない自分が、「もっと話したい、言葉を交わしたい」と心から思えたことが本当に嬉しかった。
さて、私が初対面の人との会話に苦手意識を持ってしまう理由の一つに、「考えすぎてしまうこと」がある。「この言葉を言って相手を傷つけないだろうか?」「話を上手く続けるにはどうすればいいのだろう?」と考えすぎて、思うように言葉が出てこないのである。特に、LINEのような記録が残るやり取りでは、さらに気を使ってしまう。しかし、外国語でのコミュニケーションは「言語の壁」があるおかげで、会話のテンポの良さがそれほど重視されない。むしろ、外国人が慣れない言語で話そうと努力する姿勢を喜んでくれる人が多い。そのため、相手に思いを伝えるまでの過程にじっくりと向き合うことができる上、多少ぎこちない表現でも、自分の気持ちを伝えることができる。私は普段、自分に自信がなく、人と話すことを怖いと感じることがあるが、「完璧じゃなくてもいい」と思える外国語、特に韓国語での会話は、とても心地が良かった。
彼女との交流はその後も続いている。実はお互い大学の寮生であったことが分かり、学寮の中でも話すようになったのだ。最も印象に残っているのは、お風呂上がりに偶然話をした時のことである。再び私が日本語を交えながら拙い韓国語で話していていると、彼女が突然「韓国語を話せる日本人を何人か知ってるけど、その中でも1番発音が綺麗だよ」と言ってくれたのである。
今思えば、彼女なりの優しさだったのかもしれない。しかし私はただただ嬉しかった。「韓国アイドルと話せるようになりたい」という純粋な気持ちから始めた韓国語の勉強が実を結んだと実感できた瞬間だったからだ。あの時、勇気を出して「仲良くなりたい」と言葉にして良かったと感じたし、もし今後、同じような場面があれば、自分を信じて積極的に言葉にしていきたいと強く思った。行動しない理由を考えるより、まずは行動してみる強さを持ちたいと思った。
最後に、私にはある一つの夢がある。それは、就職活動が終わったら、韓国で1か月間の語学研修に参加するということである。一年前の自分には想像もできなかった夢だが、地道に勉強を続け、人生で二回目の渡韓では、現地の人々と通訳なしでコミュニケーションを取りたい。そして最後には、一番初めの目標であった韓国アイドルとの会話をスムーズに楽しめるようになりたい。
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