高3の夏休み。塾で涙が止まらなくなった私が両親に伝えた言葉
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高校3年生の8月のある日。塾を早退してこの言葉を両親に伝えた。
「国立大学行きたくない。辛いから、目指すの止める」
周りから見たらこの言葉はネガティブな言葉に聞こえるだろう。高校3年生の夏という受験が目の前に迫った時に、目標としていた大学を諦めてしまうこと自体もよく思われないだろう。しかし、私は自分の気持ちを素直に言葉にして本当に良かったと思っている。
私が通っていた高校はいわゆる進学校で、入学当初からレベルの高い大学を目標にするよう言われていた。私はそれに従い、進路を考えていく中で、自分のやりたいことを考え、それができる学部がある国立大学を目指し続けていた。
1年生のときから毎日朝と放課後にある小テストのため、1日3時間以上は自主学習し、成績を伸ばすために勉強し続けた。3年生になってからは塾にも通い始め、毎日ひたすら勉強を続けた。しかしいくら努力しても自分の限界はあるもので、成績は一定のところから伸び悩み、不安や焦りを覚えた。友達との会話でも志望校の判定がどうだとか、偏差値がどうだとか。話を聞くたびに周りと比較して落ち込むことが増えていった。第一志望だった大学も、本当にそこを目指すべきなのか、自分がしたいことは何なのか、分からなくなってしまって、毎日のように1人で泣いていた。
自分がこれからどうするべきなのか疑問に思いつつも、がむしゃらに勉強をし続ける日々。高校3年生の夏休みには、成績を伸ばすために毎日1日12時間は塾に籠もって勉強をしていた。しかし8月中旬のある日、いつも通り塾で勉強していたら、ふと涙が止まらなくなってしまった。そしてその日、塾を早退し、両親にこの言葉を伝えたのだ。
結果として、両親は意外にもあっさりと私の気持ちを受け入れてくれた。伝えるまで、両親は私に国立大学に行って欲しいと願っているとばかり思っていた。実際はそうではなくて、自分の好きな場所で、好きなことをして欲しいと言って応援してくれた。
そこから母が一緒のオープンキャンパスへ行ってくれて、行きたいと思える大学を見つけることができた。塾でも国立大学へ行くための勉強から新たな第一志望である私立大学に向けての勉強をスタートさせた。それまで良い大学に行かなければならないという固定観念に囚われて、苦しくて辛い思いをしていたが、自分の本当にやりたいことに向けて進むことはとても楽しかった。この選択をして良かった、言葉にして良かったと心から思えた瞬間であった。
最終的に、運良くその年の指定校推薦枠があったため、チャレンジした。そして学内推薦者に選ばれ、そのまま受験、合格できた。その大学に通うことができ、自分のやりたかったことを学んで、したかった研究をして、充実した日々が送れている。
自分の本当の気持ちを人に伝えることはとても勇気がいることである。実際に私がこの言葉を伝えたときもとても不安があった。しかし、言わずに心の中にしまっておいて後悔するより、素直になって言葉にしたほうがより良い方向へ向く可能性が上がるのではないだろうか。今後も何か迷ったときには1度立ち止まって、自分の本当の気持ちをしっかりと理解し、周りにもそれを伝えたいと思っている。
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