なりたい自分を実現できるのは他の誰でもない、わたしだけの特権
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最近、頭の中がゴチャゴチャしている。やらなくちゃいけないことが次から次へと浮かんでくるのに、どれも手がつかない。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと思いながら、ただ焦るばかり。
なんでかというと今年の3月で卒業するので、卒論の最終チェックや学会発表の用意。これが脳内コンピューターのリソースを一番割いている。次に就職先の資格の勉強や、新居の引越しの用意。生活のことを考えると、アルバイト先のシフトを掛け持ちしている分だけ考えて提出しないといけない……考えれば考えるほど、パンクしてしまう。
結局のところ、目の前に見えている優先順位の低いものしか処理できていないのが、現実だ。
例えば、今日中にできたコト。前から予定していたバズストアへ送る服の集荷と、排水溝の掃除ぐらい。それすらも、なんだか適当に済ませているような気がして、終わった後に自己嫌悪に陥ってしまう。「もっと効率よくできたんじゃないか?」って、自分を追い詰めてしまうのだ。
何より、体が思うように動かないのが一番つらい。頭では理解しているつもりなのに、手足が鈍い。自分の身体とは思えないほど、考え通りに行動ができない。それどころか、話すらまともにできていないような気がする。ロボットに乗っているのに、ちっとも起動してくれないし、電源がついた! と、思っても動かない……みたいな。
それに言葉を選ぶ余裕もなくて、ただ「わたしだったら……」と、自分の話にして喋ってしまう。相手がどう受け取ったかもわからず、後になって「あれ、変なこと言ってないかな?」と反芻してしまう。舌もうまく回っていないのに、口だけが動いている感覚。
真剣に聞いてくれている人の視線を、寝る前まで思い浮かべて、また頭の中が混乱する。真っ暗な自室で、その人の瞳だけが浮かび上がってる気がするのだ。そして、ますます動けなくなる。朝日が怖いだなんて、ドラキュラみたい。
こういう時、自分の中に「動きたい自分」と「動けない自分」が共存しているのが分かる。前者は厳しい声で、「早く! 効率よく! できるよ!」と笑顔で接してくる。後者は、疲れ切って動きたくないとため息だけをついている。そのせめぎ合いで、日中に横になっている時間が長くなってしまう。夜になると疲れきっている自分が晩酌を勧めてくる。そしてまた、昼ぐらいに目が覚めて絶望する。
でも、目に見えるものだけに手をつけている今の自分を、「そんなに責めなくてもいいのかもしれない」と、考えられるようになったのは、一つ大人になったところだと思う。
とりあえず、両手を広げてすぐ届く範囲の、目の前のことだけでも片付けていこう。少しずつでもゴチャゴチャしたものが片付いていくかもしれない。それに、話すことが上手くできない自分も、ただの一過性の状態に過ぎないだろう。
だって、一歩ずつでも物事に取り組めている。
全部を完璧にこなせる人間なんて、最初から存在しない。
そうだ。
朝起きたら、ペンを手に取って、何がやるべきことなのか、ひとつひとつ書き出してみようと思う。それがきっと、小さくても動き出すキッカケになるはずだ。
今年の抱負は、この気持ちを継続したまま、少しずつ自分の両手の範囲を広げていくこと。社会人1年目の第一歩で挫けないように、相手のことを思いやれるような手を差し伸べていきたい。なりたい自分を実現できるのは他の誰でもない。わたしだけの特権なのだから。
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