私が言葉にしてよかったことは、自分の中のモヤモヤをはじめとする自分の想いや気持ちである。自分の想いや気持ち、感情を伝えるには勇気が必要で、特に「嫌われたくない」という恐れは誰しもが持っているのではないか。私も同じような経験がある。

過去の私は何か思うことがあっても、それを言葉にすることができなかった。何か言いたいことがあっても心の中でモヤモヤして、言いたいことを飲み込んでしまうことが多い性格であった。それは相手に嫌われたくないという気持ちが強く、自分の想いを言うことで関係性が悪化してしまうのを恐れていることなどが、私の感情がうまく表現できない原因であったようにも思う。

また相手に何かを言って変わってもらおうとするのではなく、自分の考え方を変えればよい、我慢することで最も関係性がうまくいくと信じていた。

これは友人関係だけでなく、恋愛の場合でもこのように考えることが多々あった。「好きな人に嫌われたくない」。だからこそ思ったことは言わずに、自分の中で完結させようとしてきたけれども、そのちょっとしたモヤモヤが相手に言わないため消化できず、モヤモヤはたまっていく一方であった。

「塵も積もれば山となる」。このことわざのように、私の中のモヤモヤは日に日に積もっていき、最終的には関係性を終わらせる選択をしてしまうことが多かった。あの時言葉にしていたら解決できていたかもしれないのに……。

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しかし、そんな私が今の彼と出会い、少しずつ変わり始めた。彼は私に「何でも受け止めるから、思ったことがあったら隠さずに言ってほしい。それだけで嫌いになることは絶対にないから」と面と向かって言ってくれたのだ。

その言葉を聞いたとき、衝撃を受けた。どうしてそんなに受け入れてくれるのだろうと疑問に思ったけれども、すごく安心した。この言葉がきっかけとなり、心の中でモヤモヤしている自分を卒業したいと強く思い始めた。

それから私は、心の中でモヤモヤしたことを少しずつ言葉にして伝えていくようになった。例えば嫉妬の気持ちや不安がわいたときに正直に伝えるようにしたのである。

最初はやはりこれを伝えるのに「嫌われてしまうのではないか」という不安が大きかったけれども、驚いたことに、彼はその気持ちを嫌がったり、面倒がるどころか、むしろ嬉しそうに受け入れてくれたのである。「そんなこと思っていたんだね。気づかなかった。教えてくれてありがとう」と言ってくれる彼の言葉が、私の中でずっと抱えていた不安やモヤモヤを軽くしてくれた。

心の中にたまった感情を伝えることで、心の距離もぐっと縮まった。自分の気持ちを伝えることは良い関係性を築いていくために大切なことであり、モヤモヤをためるのは誰のためにもならない。このことを強く実感した瞬間であった。

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以前は、言葉にすることで関係が悪化するのではないかと恐れていたけれども、実際には言葉にして伝えることでお互いの信頼関係が強化され、良い関係を築くための大切なステップであることに気づいた。

今の彼と出会えたことで私は、「言葉にしなくては伝わらないこともたくさんある」という大切な気づきを得ることができ、自分の気持ちを伝えるのは悪いことではない、自分の気持ちを大切に素直に表現することが以前よりももっとできるようになった。そして、そんな自分に誇りを持てるようになった。

「自分の想いや気持ち、感情を素直に伝えること」。これは言葉にしてよかったことであると言うことができる。言葉にして伝えることの大切さ、それを受け入れてくれる人がいることの素晴らしさにも気づくことができた。これからも、恋愛だけでなく友人関係においても同じことが言えると思うため、素直な自分を大切にし、よりよい関係を築いていきたい。