『昨年はありがとうございました。今年も宜しくお願いします』

そう心の中で呟き隣の彼を見ると、まだ手を合わせていた。

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昨年お付き合いがスタートした彼と、2人で行く初めての初詣。お正月は家族と過ごすことが多かった私にとって、家族以外の人と行く久しぶりの初詣だった。

早々にお詣りが終わった私に対し、しっかり手を合わせて目を瞑る彼。「もうお願いごとしたの?」驚いた様子の彼に、「え、初詣ってお願い事するの?」とさらに驚く私。この人数のお願い事を神様は聞いてくれているのか…勝手に同情しながら、神様にお願いしたいことってなんだろうとぼんやり考えた。

その場その場を「思い立ったら即行動」で生きてきた私にとって、計画とか新年の抱負とかその辺の類がとても苦手だ。それが良いとも悪いとも思ってはいないが、今年やることを10個決めたという友人の話を聞いて、なんだか自分が悪いことをしている気持ちになった。

きちんと計画した方がいいんだろうなと思うことも、今までにたくさんあった。転職先を決める前に正社員を辞め、バイトしながら転職活動しようと決めてから早2年弱。結局今もフリーターのままだ。

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致命的なのは計画性がない上に向上心もない。フリーターでもやりたいことだったから楽しく働けているし、かと言ってこれ以上責任を持ちたくはないのでそこで正社員になりたいわけでもない。実家暮らしではないので家族に迷惑をかけているわけでもないし、祖父母も健康でいてくれているので介護の心配も今のところない。

恵まれた環境、俗にいう“ぬるま湯“にどっぷり浸かってしまっている。

それでも気づけば今年で29歳。今までと同じような生き方では難しい年齢なのかもしれない。久しぶりに私も目標を立ててみようか。

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目標の立て方すら忘れてしまっていたので、「新年 目標 例」と調べてみる。貯金、転職、恋人を作る。うーん特に響くものが見つからない。

次に「20代のうちにやっておけばよかったこと」と調べてみる。

ある人は『若いうちに貯金ばかりせず、海外に行くなどもっと旅行に時間もお金も使えばよかった』と言い、ある人は『結婚、子育て、持ち家など30代は予想以上にお金がかかる。もっと貯金しておけばよかった』と言う。いやどっちやねん。

そういえば、一緒に初詣に行ったあの日、彼はどんなお願い事をしたんだろう。目標とは違うかもしれないが、ふと気になり聞いてみた。

「願い事は言ったら叶わないから言えないな〜。でも、今年も2人仲良くいられたらそれでいいな」

ネットで調べて出たどの答えよりも、スッと心に落ちてきた。そうだよね、今年も2人で仲良くいられたら、それだけで幸せだ。

結局いまだに明確な目標は決めていない。

それでもここに宣言する。2025年、そばにいてくれる大切な人たちに、感謝の気持ちを忘れず接すること。それだけは胸に刻んでおこう。