雪を求めて車で隣県へ。滅多に降らない地域で過ごした幼少期の記憶
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わたしは雪が2、3年に1度しか降らない地域で幼少期を過ごしたため、雪とは縁遠い。逆に言うと雪が珍しいため、雪の思い出は3つくらいしかないが、どれも鮮明に覚えている。
小学生時代に、隣の隣の県で雪が積もったということで、わざわざ雪遊びをするためだけに、休みの日に車を数時間お父さんが運転してくれたことをいまだに覚えている。2、3年に1度降っても薄くしか積もらないので、たくさん雪を集めてきても、小さな小さな雪うさぎを作ることがやっとだった。そのため、積雪目当てに遠出したときに雪だるまを家族で作れたことは本当に良い思い出だ。
中学校の修学旅行の行き先は、北海道だった。一般的な修学旅行の時期はわからないが、わたしたちは10月後半に行った。
北海道に到着し、初めの目的地に着くと「ユキムシ」というアブラムシ科のムシが大量発生していて、まるで雪が降っているように見えた。北海道や東北地方でユキムシが飛ぶと、初雪が近いそうだ。ソフトクリームにそのユキムシが付いてしまっていた子もいて、わたしは食べたかったのだが、その場で食べるのは泣く泣く諦めた。
その日の夕方に、例年より早く初雪が降った。雪に慣れていないわたしたちは、底がつるつるの制服の革靴を全員が履いていて、防水スプレーを降るという対策すらもしておらず、店先のスロープや道路ですべってしまった。修学旅行ではスーツケースは、出発前にすでに宿泊する予定のホテルに送っていた。天気予報は確認していたが、まさか雪が降るという想定はしていなかったため、すでに輸送してしまっているスーツケースの中に、マフラーや手袋、カイロといった防寒具を入れてしまっていたのだ。もちろん自分自身が悪いのだが、雪が降った寒さとホテルの乾燥が相まって風邪を引いてしまった。ソフトクリームどころではなくなってしまったし、修学旅行後半は喉が痛くてテンションも下がってしまった。旭山動物園のホワイトタイガーなどの動物が屋内に入ってしまっているくらいの10月にしては、異例の寒さだったようだ。
もう1つ最近の思い出でいうと去年、雪が降り積もったときは会社にダウンジャケットとレインシューズで出勤した。傘を差しても風で舞ってしまうような雪だったため、フード付きのダウンジャケットを着て行って正解だった。しかも誰かの足跡を探して、踏み固められたその上にも歩こうとしたが、上から雪が積もって足跡が消えてしまうくらい雪が降っていた。最寄り駅から帰宅するのに、いつもの倍の時間かかってしまった。
雪が降ったのは1日だけだったが、温度が低い日が続き、1週間くらい雪は溶けずに道に残っていた。マンションの近くに短いが急な坂があり、そこを通らないと帰れないのだが、そこをスケートのように滑り降りるということを数日した(笑)。
今シーズンはわたしの住んでいる地域は、まだ雪は降っていない。果たして今年は、思い出に残るくらいの雪が降ったり、積もったりするのだろうか?
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