今年はもっと人を知りたい。そうすれば私はひとりぼっちじゃなくなる

次の春が来れば、私の人生における学生生活の期間が終わる。
自分も他人を図り続け、傷つけて傷つけられての繰り返しだった高校生の時までと比べて、大学の4年間はかなり文化的というか、真っ当な人間になるための必須ステップだったと思う。
もちろん辛いこともいっぱいあった。黒歴史もちょっと作った。でもやっと「私」という人間を本当の意味で直視出来るようになって、生きるのがとても楽になった。人生は楽しいのかもしれないと思った。
苦しくてちょっと狂ってたけど、愛おしい4年間だった。
で、今年から社会という荒波との長い闘いが始まる。
大丈夫か?働くということはとても大変らしい。社会人の方々の様子を見ていると、私なんか一発KOされて即リタイアするのではという可能性が頭を過ぎる。それでも進むしかないんだし、とりあえず覚悟を決めて飛び込もうと思う。
そんな2025年の私は、「もっと人について知る」宣言をしたいと思う。
学生時代の交友関係というものは、同じ地元、同じくらいの偏差値、同じような環境で育ってきた人たちがほとんどで、やはり似通っている部分が多いからこそ仲良くできる。と、ちょっと前まで思っていた。
学生時代の私というのは自分のことばっかりで、「あの人からそう思われているか」とか「こうしたら他人からどういう風に映るか」とかそんなことばかり考えており、他の人のことをよく理解できていなかったのだと思う。
正直今だってまだまだそうなんだけど、それでも自分の過去や気質とある程度の折り合いが付き始めると、それまで見てこなかった部分に目が行くようになった。悩みが無く充実してそうに見えたあの子が、人知れず重い現実を背負っていたり、逆に大変そうな環境に置かれている子がその現状を楽しんでいたり、私の価値観での想像だけでは行き渡りきらない事実がたくさんあったことに気が付いた。その他にも、家庭環境、友人関係、恋愛、セクシャリティなど、そこに「普通」なんてものはあまり無くて、皆少しずつ違っていて、そしてそれに追い詰められてしまう人も少なからずいる。けれどもそれを見せずに普通の顔をして生活している人がたくさんいる。
これまでの私を苦しめていたのは「視野の狭さ」だなと、最近気が付いた。視野が狭いから「こうじゃなきゃダメだ」と思い込む。勉強も部活も趣味も、友人関係も恋愛も全部全部成功させなきゃと、自分の気持ちを置き去りに、強迫観念で動いていたのが私だった。私以外の人が当たり前に出来ていることを、私は周りの様子を伺って、「これで合ってる?」と常に比較して、「普通」っぽく形を整えないと私には出来なかったと思っていた。
でも他の人たちの悩みや深い部分を知ることで、私も数いる悩みある若者の1人でしかないと分かって、拍子抜けするとともにほっとした。私だけじゃないんだという意識が、私自身が必要以上に「普通」に迎合しようとすることを、いい意味で諦めさせた。
人を知る。そうすれば私は1人じゃないと思える。そしてもしかしたら「自分はひとりだ」と思っている誰かのこともちょっとだけ救うことが出来るようになるかもしれない。それを積み重ねていって、2025年はもっと自分自身を好きになれるといいな、とか思っている。
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