未知の名産に出会う。47都道府県制覇は美味と思い出に溢れた食の旅

47都道府県制覇の目標まで、ついにあと1県となった。
最後の県は青森県だった。
友人との約束をなんとか取り付け、青森に行くことが決定。まだ寒さの残る季節のことだ。
1日目に向かったのは日本海側にある世界遺産白神山地。
ちょうど冬の期間で個人での登山はできず、ツアーを組んでスノートレッキングを体験した。まだ雪の残る山道を青森の伝統的な雪道用の補助具を使って進む。晴れていたからか青池も運良く綺麗な青色に見え、その日のコンディションは抜群だった。
途中、ガイドさんが、りんごを切って与えてくれた。
「美味しい!」
想像以上の美味だった。みずみずしさに加えて、甘さが舌いっぱいに広がっていく。私の住んでる地域のりんごにあるような酸っぱさはそこにはない。感動で目を丸くした。ガイドさんはその様子に、ガイドのやりがいがあると目を細める。
ガイドさんは次から次へと色んな種類のりんごを切っては与えてくれた。個人的に一番美味しかったのは王林だ。青い王林は一番甘かった。王林のみを使った王林ジュースも青森では売られている。
トレッキングを終え、車で2時間ほど移動して市内へと出た。すでに夕飯の時刻を迎えていた。慣れない雪道を歩いたからか、疲れがどっと出ていた。
何か食べたくなり、青森っぽいものってなんだろうとネットで検索してみた。出てきたのは煮干しラーメン。
「煮干しラーメンってなんだろう?」と疑問に思ったが、よくわからないものを食べるのは好きだ。近くに高評価のお店を見つけて早速食べに行った。
「美味しい……」
これまた私は唸った。私の大好きな濃い味のラーメン。
煮干しラーメンとは津軽ラーメンとも言われ、鶏ガラで作った白湯に煮干しをたっぷり効かせたラーメンのことらしい。そりゃ私好みに決まっている。鶏ガラスープの中にある煮干しの味。濃い味に絡みつく麺。どれもこれも最高だった。
2日目、さらに2時間ほど車を走らせて今度は太平洋側へと向かった。2泊3日というスケジュールで青森横断をした。
その日は、ちょっとだけお高めの宿に泊まり、夕食は贅沢にビュッフェにした。
良いお宿だったこともあり、青森の名産をたくさん料理に入れ込んでくれていた。私の調べだけでは知り得なかった名産を使った料理もたくさんあった。その中の一つがニンニクだ。
ニンニクは元から大好きだった。でも何かの付き添いで食べるばかりでそれだけを食べたことはない。
目の前にあったのは、「ニンニクの天ぷら」。もちろん食べたことなどない。
一口食べると、ニンニクの香りが口の中に広がる。それでいてくどくない。もわっとした感じもなく、むしろあっさりしている。何個でもサクサクと食べられる。こんなに美味しいニンニクは初めてだった。
この感動を他の友人に伝えてみたところ、「昔、青森出身の子にニンニクをお土産でもらったことがある」と言われたことがある。やはり青森ではそれくらいに名産品なのだ。私が不学だった。今でもあの甘いニンニクの味を忘れられず、時折青森のニンニクをネットで購入しそうな時がある。
さて、実は夕食後に友人へのサプライズで誕生日ケーキを用意していた。友人はサプライズに大変喜んでくれた。
「こんなに素敵な友人、大切にしてくださいね」という旅館の方が気を利かせて言ってくれた言葉が嬉しかった。
しかし、当然のことながら2人ともお腹いっぱい。用意したケーキはホールケーキ。一生懸命食べたあのケーキは特別に美味だった。
47都道府県は美味しさと思い出に溢れた食の旅。
次はどこに行こうか、現在はグルメを調べ中である。
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