私は思っていたよりも笑う人だった。休職を選んで見つけた自分

休職を迷っている人に伝えたい。何度も考えて、自分に必要だと感じたなら、誰かに反対されても選ぶべきだと私は思う。
私もかつては休職を選んだ。後に当時の職場を退職するのだが、休職をしたことは間違っていなかったと今でも自信を持って言える。ではなぜ私が休職を選んだのか、当時の心の動きを振り返ってみようと思う。
私が休職をしたのは、社会人になって2年目のことだった。新卒で入った職場で必死においていかれないようにしがみついていた。ただ、この環境が一生続くのかと思うと、果てしなく長く感じるようになった。2年目は、若輩者でありながら先輩にもなる。後輩ができるということは、ある程度私ができる人として思われることだと思った。そうでなくても、できていなければいけないフェーズにいて、私はそのレベルには見合っていないと感じた。仕事への抵抗と、このまま何もせずに過ぎていく時間が受け入れられず、ここで一生働くのは無理だと感じるようになった。
また、自分でも驚いたのだが、2年目になったにもかかわらず、職場に一切馴染めないでいたのだ。どこにいてもよそ者のような気がしており、馴染みたいとは思えず、馴染んではいけないとすら思うようになった。人の話に耳を傾けてはいけない。話に入ろうとするのはご法度。笑ってはいけない。仕事中も休憩中も、思いっきり殻を被って過ごしていた。
なんとなく察しがつくだろう。当然こんな生活をしていて、職場に馴染めるはずがない。時折話の輪に入れてくれる先輩の厚意を1%ほど受取り、自分の殻にすばやく戻る。いつしかこういう人なのだと思われていたのか、話しかけられることも少なくなった。私としては嬉しかったが、1人になれば、私のマイナスな思考は加速する。職場における存在価値や、ここを逃げたいという思いが日に日に強くなっていったのだ。逃げたいのに逃げられない。自分で音を上げるまで永遠にこの場所で働き続けなければいけない。私にとって拷問とも言える運命だった。このころには、身体的にも症状が出始め、不眠、腹痛、下痢、すべて仕事に行く前日や出勤前の朝に起こった。
休職という選択肢は、身体的症状を見てもらっていた医師からの提案だった。そこまで辛いと思うなら、休職を選択してみてもよいのではないか、という助言で、私の気分は軽くなった。退職しか逃げ道を知らず、辞めると上司に言うことだけを考えていた私にとって、仕事をやめずに出勤しない選択を取れるのは、いいバランスに降り立ったと思った。経済的にも少しばかり猶予ができて、時間もたっぷりある。自分の考えを固めるのに必要な時間を確保できると思ったからだ。
次の出勤日、仕事をしていてさすがに限界だと感じた。仕事を終えてすぐ、上司を捕まえて話をした。上司にも休息の時間は必要なのではないかと思うくらいに疲弊していたらしい。職場から提示されたのは1ヶ月ほどの休養。しかし、休職は多めに時間をもらいたいと思っていた私は、医師と相談し、2ヶ月ほどの休職を選択した。
休職をして、かなり自分を見つめ直す時間が取れた。私が喜ぶこと、これからやってみたいことをノートに書き出して、実行できそうなものから具現化していく。生活リズムを崩さないように気をつけながら、私が楽しいを思うことを第一に生活を送った。そのなかで見つかったのは、私は自分が思っていたよりも笑う人であったことだ。これまで仮面を被って、笑うこと、笑顔になることを封印してきた。私の中から忘れ去られていたのかもしれない。そんな自分を発見できたことは、大きな収穫だった。
休職期間は半年。その後職場を退職して、新しい職場に移った。今はちゃんと居場所を見つけられており、働くことも苦ではない。仕事をしない期間を作ることで、前を向け、また働くことに意欲的にもなれた。私には必要な期間だった。
今、休職をしようか迷っている人、退職も視野に考えている人へ。
もし何度考えても自分の中の答えが変わらないのなら、休職を選択してもいいと思う。仕事から離れて生活をしたとき、自分が本当にしたいことに出会えるかも知れないから。短期間でも、長期間でも、必要だと思った分だけ休めばいいと思う。仮に家族や友人、パートナーから反対されても、気にする必要はない。気にして気を遣えば、これまたストレスになる。
私は、この時期を過ぎたらもう元に戻れないと思った。だから休職をした。仕事から離れて正解だった。ほんの少しだけ自分本位のわがままを通しても、誰も怒らない。だから、迷っているなら休職を選んでも良い。私はあなたにそう伝えます。
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