温もりをくれた彼らがいたから。ひとりだった時間も無駄じゃない

「高校に入学したら、きっと変わる」
小学校・中学校でクラスメイトからイジメを受けていた私は、そう信じていた。信じたかった。けれども、現実はそう甘くなかった。
いじめのトラウマを引きずりながらも、前向きにスタートした高校生活。期待と不安は半分ずつだった。入学式の日から、物凄いスピード感で人間関係が形成された。その人間関係には、女子学生特有の「スクールカースト」も含まれていた。
初夏の日差しを感じられる頃。春にはグラデーションだった「スクールカースト」はいつの間にか、くっきり見えるようになった。
「仲良しグループ」の会話や行動に、上手く馴染めなかった私。「スクールカースト」が怖くて、ひとりで行動することが増えていった。
教室で誰とも話さずに1日を終える日も、いつしか当たり前に。それで気楽だったかと言われると、答えはNOだ。寂しくて、悔しくて、居た堪れない気持ちだった。
休憩時間は、「クラスメイト」にどう見られているのかが不安で落ち着かなかった。ぜんぜん眠くないのに、寝たふりをすることも多かった。
そんな日々は、いつしか当たり前になった。
「もう、ひとりぼっちでいいや」と諦めはじめた頃……。
グループの会話から、ひょい!と抜け出して、声をかけてくれる「クラスメイト」がいた。当時は緊張で声が裏返ることも多くて、伝えられなかった感謝の気持ち。
今だからこそ、この場を借りて伝えたい。
Iちゃん。
他の子が先に行った後で、「学食に行くけど一緒にどう?」と聞いてくれて、ありがとう。
Sちゃん。
体育でダンスの振り付けをなかなか覚えられなくて、焦っていたとき。動きを人型のイラストで描いたメモを渡してくれて、ありがとう。
Aちゃん。
ホームルームの前、掃除の時間、野外活動の移動時間。さりげなく声をかけてくれて、ありがとう。
Nちゃん。
冬に髪型を変えたとき。周りの子は「急にどうしたんだろう」ってコソコソ話すなかで、私に直接「可愛い!」って言ってくれてありがとう。
Kくん。
朝に私の席の前を通りかかったとき。「おはよう」って自然と言ってくれたよね。周りの子はキョトンとしていたけれど、挨拶を続けてくれて、ありがとう。
あのころ、自然と会話できていたら……。
素直に「嬉しい」と伝えられていたら……。
グループでも上手く会話に溶け込めていたら……。
きっと私は、ひとりぼっちじゃなくて、「クラスメイト」と他愛のない会話を楽しめていたかもしれない。
もしも今、あのころに戻れるのなら……。
大人になって友達がたくさんできて、いろんな人と楽しく話せるようになった今。
ふと振り返って、後悔に押しつぶされそうになることがある。
タイムマシーンでも発明されない限り、あのころに戻ってやり直すことはできない。
後悔を完全に忘れて、ゼロにするのも難しい。
それでも、クラスに馴染めなかった高校時代が、無駄だったとは1ミリも思わない。
温もりを与えてくれた子がいたから、毎日学校に通えて、高校3年間は皆勤だった。大学受験も納得のいく結果だった。
部活で友達と楽しく過ごせたとき、この上ない幸せを感じられた。いまでも頻繁に会う親友になれるなんて、当時は思いもしなかった。
大学時代〜社会人時代にたくさん友達ができて、笑みが溢れる時間が増えた。当たり前じゃなくて奇跡のように感じられる。
「あのころ」は確実に今の私につながっている。
温もりを与えてくれた「クラスメイト」は、今頃きっと想像を遥かに超える、立派な大人になっているだろう。
もしも街中で、彼らとすれ違ったら。心から『ありがとう』を伝えたい。
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