高校の頃、よく一緒にいる子がいた。背が高くスラッとしていて、メールの返信も早く、一緒にいる時に無言の時間がない子だった。そしてピンク色の服がよく似合った。
モデルにスカウトもされたことがあるらしい。ピンク色の服の似合う彼女は、私の憧れでもあり、嫉妬の対象でもあった。私もピンク色は好きだったが、彼女と同じように着こなすことができない。彼女と私の違いはなんなんだろうとよく考えていた。

ピンク色の似合う人はなんだかヒエラルキーの一番上にいるような気がする。そして、似合わない人は敗者のような気がする。私はこの頃いつも黒や灰色といった地味な服を着ていたからか、あるいはピンク色が似合わないからか、常に劣等感を抱えていた。

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彼女はよく悪口を言う人だった。それも相まってか、彼女の悪口や噂話も色んな人から聞いた。内容はそんなことで?と思うことから、それは確かにと思うことまで様々だった。

大人になった今考えれば本当に嫌われている人は話題にすらあがらないのだから、どこか私と同じように嫉妬する部分があったのではないかと思う。結局私は、悪口を言ってきた人とも、そしてこの彼女とも今では縁を切ってしまった。

高校の時、この彼女を含む何人かでクリスマスパーティーをした。彼女発案だったが、うちではできないから私の家でパーティーをしたいと言った。もちろん私は断れなかった。

パーティーで簡単なゲームをして、私は誰かに告白をしないといけないことになった。
彼女はパーティーから何週間も経っても、一緒にカフェに行くたびに、まだ告白をしていないことを執拗に責め立ててきた(ように当時は思った)。なんだか話を進めないと、今度は私が悪口の対象になる気すらした。

それでようやく彼女に実は今好きな人がいることを伝えた。そうしたら意外にも彼女はかなり協力的になってくれて、その男の子と会う機会ができた。

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ただ私はその後どうしようかと1人で悶え続けていた。本当の私の気持ちがわからなくなった。結局、連絡をとった男の子には、気持ちを伝えることができず、パーティーでそういうことになったとかしか言えなかった。
もちろんその男の子から返信は来なくなった。

「まだ好きなの?」
彼女は私に冷たい声でそう言った。私は取り繕うように笑うことしかできなかった。なんだかバカにされている気がしたが、当時のカーストは彼女の方が上のように思っていたため、私は反論も事情の説明もできなかった。

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大学に入り、高校時代とは別の交友関係が生まれた。高校の頃よりずっと話しやすい子たちばかりだった。ピンクの似合う彼女のこともあの男の子との一件の日のこともすっかり忘れていた。私は自然とピンク色の服を着るようになっていた。

彼女と縁を切った自分は、なんだか、彼女よりヒエラルキーが上になったような気分にすらなった。

しかし、ある日突然、高校の頃のこの出来事を思い出した。そして今は当時の男の子への申し訳なさでいっぱいになっている。なんであの時、ああ言ってしまったのか、きちんと彼女に断らなかったのか、あるいは素直に気持ちを告白できていなかったのか。

男の子側目線になればトラウマも同然になることをしてしまったことにやっと気がついた。誰かに吐き出さないと苦しいが、話したら引かれる気がして相談すらできていない。

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なぜ突然思い出したのかはわからない。でも私が好きな色であるピンク色の服を着て、それなりに恵まれた大学生活を送っていた矢先、私は突然幻想から現実へと引き戻された気がした。

今ならわかる。高校にはこのピンクの彼女よりずっとピンクの似合う人たちがいたことが。彼女はその上澄の人たちと本当は仲良くしたかったのだろう。そこから弾き出されて、私のような人と一緒にいながら、自分が上の立場であることを確認していた。傷ついた自己愛を守るように、無意識にピンクを着るようになったのではないだろうか。

偶然、今度彼女と会わないといけないことになった。私はきっとピンク色の服を着ていくと思う。