ピンクは私の好きな色だ。
筆箱もノートも、会社で使っているボールペンもピンク色だ。

部屋の中を見回してみると、クッションに小物収納、ベッドカバー、そしてカーテンがピンク色だ。ちなみにスマホカバーとバスタオルもピンク色だった。

これだけ家の中ではピンク色に囲まれている私だが、普段あまりピンク色の服は着ていない。

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単純にピンクが似合わないのと、どうしてもピンクはフェミニンな印象になり、どちらかというとボーイッシュやクールのイメージの私とは雰囲気が合わないと思っているからだ。

珍しくピンクのトップスを着て会社に行くと、 年の離れたお姉さまたちが「ピンクも似合うね」と褒めてくれる。褒められて嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちがないまぜになる。

慌てて取り繕うようにお礼は言うが、それだけピンクを着ている私が珍しいから目についたのではないかと思って、ひねくれた考え方だが、やっぱり似合ってなくて変に映ってるのではないかと気になってしまった。

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中学生くらいから、自分はボーイッシュだと思っていた。女の子らしくない顔つきだし、髪の毛も短めだった。ボーイッシュだからか、少しでも女の子っぽく見られたいという気持ちが滲んで、服装や持ち物に選ぶものはピンクが多かったように思う。

特にショッキングピンクと黒の組み合わせが好きで何枚か服を持っていた。加えてショッキングピンクと黒の筆箱や鞄も持っていた。キャラクターとしては目立たないタイプの私だが、持ち物だけイメージと合わない派手なものを持っていたような気がして、今では少し苦い思い出のある組み合わせの色になっている。

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学生時代はピンクを女の子の色だと認識していた私であるが、それが今も続いていると自覚したエピソードがある。

先日子どもがいる友達の家にお邪魔する機会があったので、プレゼントするベビー用品を選んでいたときだった。男の子なので水色や青のものを探していたが、男の子だからと言ってブルー系でまとめなくてもいいのではないかと思った。色の持つジェンダーのイメージを気にしすぎてるような気がした。

そういえばその友達の家で先日お邪魔した際に、子どもはピンク色のおしゃぶりを使っていた。まだ色の好き嫌いをするような年齢ではないので、子ども自身が進んでピンクを選んだわけでなければ、誰から譲り受けたか親が選んだかしかない。

どちらにしろ親がピンクのものを使わせているのだから、男の子だからブルー系のものを使わなくてはならないという枠にはめてプレゼントを選ぶ必要はないと思い、視野が広がった気がした。

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私はピンクも好きだが、青色も同じくらい好きだ。青色の服を身に着けていて、男の子の色だと言われたことはない。それどころかつい先日、私には青色の服も似合うんじゃないかと言われたことがあった。その人は私が青色のトップスを着てるところを見たことはなく、青色が好きだとも言ったことはない。ただ自分が似合うものや好きなものが肯定されたような気分になり、嬉しかった。

私の周りにはピンクのものがこれからも溢れていくだろうし、仮に私にはピンクのイメージがないと言われたとしても、 好きな色は 好きだと言い続けられるようにしたい。色でジェンダーを区別することは私自身 少なくしていきたいと思うし、皆が好きな色の服、モノを持てるようになってほしいと思う。