旦那と旅行に行く時は、少し高くても必ず客室露天風呂付きの旅館を予約すると決めている。そのためにお金を貯めているから。毎日頑張っている自分たちへのご褒美。

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非日常空間で、二人で入るからこそ見える景色がある。普段なら少し照れくさくて言いづらいことでも、開放感のあるお風呂では不思議とすらすらと話せてしまう。

仕事のことも、将来のことも──忙しない日常を忘れた空間で語り合う未来のこと。その時間はすごく特別で、いつもそこで旦那の隠れた野望を知る。

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そして、スマホに頼らずに行き当たりばったりで、ご飯を食べに行くことも多い。お店を決める時、口コミばかりを見てしまって大切なことを忘れている気がするから。旅行先だからこそできること。

長野県に旅行に行った時は、道で迷った末にお蕎麦屋さんにたどり着いた。そのお店は、とてもフランクでみんなが初対面なのに、まるで昔からの友達のように話していて、それがすごく楽しかった。手打ちで打っているお蕎麦は本当に美味しくて、自分たちの力だけでこのお店にたどり着けたことが、何よりも嬉しかった。

旅行はただのご褒美ではなく、忘れかけていた大切なものを思い出させてくれるものなのかもしれない。