淡々とした日々を送っていると、どこか遠くへ逃げ出したくなる時がある。ルーティン化した朝準備、仕事、晩ご飯。全てを放り出して空港へ向かう早朝のそわそわ感がたまらなく好きなのである。

今回の旅ははじめての沖縄。離島に降り立ったときの最初の感想は、「潮臭くない!!」だった。

◎          ◎

白い砂浜で海水をなめてみる。臭くないどころかマイルドで優しい塩気。目前に広がるターコイズブルーの海に足をつけて心ゆくまでぼーっとした。こんがり日焼けした牛や馬がのんびり海の横で草を食み、日常のピリピリした空気はなんだったのだと狐につままれたような気分すらなる。今は全て忘れて贅沢に五感を解放する時間だ。

地元産の風味豊かなコース料理に舌鼓をうち、さざなみの音を聞く。道の駅で柔らかな匂いのする手作り沖縄ハーブ石鹸をコレクションし、ふわふわ手触りの雪塩をお土産にした。そして辿りついた日本最西端の地。海の向こうに見える影は台湾で、台湾の友人は思ったよりご近所さんだったと分かった。また彼女の元を訪れて色んな場所や文化を教えてもらうのもいい。

◎          ◎

7色の青が輝く海を眺めながら友人の明るい笑顔を思い出す。台湾、渡って中国香港。きっと大陸も思ったより近いのだろう。昔から色んな文化が伝わってきたこのルートを日本から辿ってみたいと思った。

沖縄は朝から楽しんだので、台湾と香港は夜からスタートでも楽しそう。街めぐりついでに茶葉と茶器もあつめたい。構想が止まらず次回の旅行プランが早くも決まりである。

◎          ◎

人間の持つ感覚や3大欲求、知的好奇心を全て刺激して満たし、世界にまだ知らないことがたくさんあると知ることが出来るから旅行はやめられない。なにより旅は次の旅という小さな野望をくれる。頭の隅で膨らむ中華の空気に活気づき、また次の逃避行まで日常に戻るのだ。