在宅ワークに憧れる小娘が描く、リモートだからこその理想のOL像

実際に私はまだ会社に勤めるという経験をしたことがない、学生という立場である。だが、スーツを着こなして身だしなみをそろえて出社するよりも、リモートワークに憧れを抱いている。
在宅で仕事というのは孤独と感じるときもあるのかもしれないが、家でいるからこそ緊張することがなく、特に大事な仕事をこなさなければいけないときほど、リモートワークという環境が吉と出るか、凶と出るかに繋がるのではないか。ここぞ正念場、絶対に失敗してはいけない!という仕事のときほど、リモートワークがいいなあ、なんて社会人経験のない小娘が呟いても仕方のないことだが、私はどうしても在宅ワークに魅力を感じている。
朝7時前に起き、身支度をする。この身支度というのは特に女性にとって億劫だったりすることの方が多い。20歳の頃から働き始めている中学時代からの友達によると、毎日仕事に出向くのに加えメイクや着替えに気合を入れるため、休日は着飾る気力もなく、仕事の疲れも溜まってへとへとで引きこもりがちになることが多々あるそうだ。
彼女のように仕事の疲れだけではなく、メイクや髪の毛といった出勤前の身支度に気疲れしている社会人は少なくはないはずだ。毎日の繰り返しであって、当たり前とされている出勤前の身支度だが、もし彼女がリモートワーク可能な会社に勤めているとしたら、メイクもナチュラルな仕上げにし、服も上半身だけ引き締めると、休日の余裕ができるのではと私は勝手に想像したりする。
しかし仕事のスタイルは人それぞれであって、やはり仕事のときはスーツにネクタイスタイルのほうが集中できるという人、動きやすい服装とされるオフィスカジュアルで仕事に毎日挑んでいる人。それぞれがリモートか、出社型か関係なく、服装やメイクには信念をもって社会人を頑張っているはず。休日に余裕をもたせよう、という考えはいつも端っこで、仕事を常に優先しがちな現代人にとって、リモートワークが良い意味で身近で気軽な働き方になる日は近いのだろうか。
私自身も学生でありながら9時過ぎからのオンライン授業や合評会といった発表をする授業のときは、服装よりもメイクの支度に時間がかかっていた。コロナ禍に入って、リモート会議が定着したと同時に、リモート映えメイクという画面越しでも映えるメイクが流行り出した。ただチークを濃く入れることや、ハイライトで肌を艶々に見せるという、単純なメイクなのかと思われがちであるが、そうではない。対面よりもリモートのほうは顔がぼけて見えがちなので、いつもよりもアイカラーのラメを濃く入れる事や口角の下がりを目立たなくするようなチークの入れ方など、事細かなメイクこそが、リモート映えするメイクなのだ。こう熱く語っている私自身であるが、まだリモート映えするメイクのコツを掴めているようで掴んでいないのが本音だ。だからこそ研究したいという欲は人一倍といえる。
そう考えてみるとリモートワークって楽しいものだと思う。出社するよりも身支度に手間がかかると感じる人、感じない人とそれぞれに分かれていると思う。その一方で、たとえば出勤時間が省けた分、いつもは使わないラメ入りのアイカラーを派手にならない程度に入れて、マスクをしなくたって支障はないのだから明るめのリップティントで口角を上げてみることは、仕事前の自分にご褒美を与えることと等しい。実際にリモートワークに励んだ経験がゼロな学生が何を偉そうに語っているのだ、と思われるかもしれないが、こうしてお仕事前の身支度を想像していると、リモートワークは画期的でありながら現代人による現代人のための仕事術だと私は感じ取っていた。
今後、在宅ワークに励む身分になったとき、このようにリモートだからこそ叶えられる理想のOL像を思い出したいものだ。
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