人は皆、それぞれ違う人生を歩んでいる。生まれ育った環境や価値観など、何もかもが同じ人なんていない。だからこそ、誰かを色眼鏡で見てしまうこともあるのかもしれない。私も、周りを見て「結婚してて幸せそうだな」「ブランド物を持ってるからお金持ちなんだろうな」など、その人のことは何も知らずに色眼鏡で見てしまっているなと実感している。

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私自身も色眼鏡で見られることはある。印象深かったのは、以前、街コンに参加したときのことだった。上から下まで清楚に仕上げ、婚活のために武装した偽りの姿の私。ニコッと微笑みながら明るい雰囲気を出して会話しただけで、男性陣からの受けはかなりよかった。色んな褒め言葉をもらったけれど、ちょっと嫌な気持ちになったものもあった。

ある男性と話していたときに、私が一人っ子だと伝えると「可愛いからお父さんとかもうメロメロだったでしょ?」と言われた。また、別の男性からは「順風満帆な人生を送ってきたんだろうね」と言われた。彼らは何も悪くない。でも、このときの私はニコニコしながら「お前らに私の何が分かるんだ」と、内心イライラしていた。

私の人生は周りから見れば普通か、幸せな方と思われているかもしれない。それは、一人っ子イコール愛情いっぱいに大切に育てられるというイメージや、私が必死に努力して自分磨きをした"結果"だけで判断されたものに過ぎない。婚活以外でも、私のことを分かっているような口振りで色々言ってくる人はいた。見たり話したりする中で考えて言っているのだろうけど、私のことなんて全然分かっていない。

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祖父母や母がいたから元気に生きられているけれど、もし父だけだったら確実に私は早死にしている。あの人は言われないと(言われても)できないし、私の育児もまともにしてくれたことがなかった。留守番を頼めば私を冷房直撃の床に放置して自分は爆睡、沐浴をさせれば私が溺れそうになることは何度もあったらしい。他にも色々と酷すぎて、母が本気で離婚を考えたほどだった。

家以外でも、私は高校まで嫌な思い出だらけだった。小中学校ではいじめに遭った。勉強や部活で成果を出せば嫉妬から陰口を叩かれ、困って頼ってきた子を助ければ酷い裏切りに遭った。高校では3年間お昼はほぼぼっち飯だった。大学に進学してからはいい思い出がたくさんだったけど、お人好しが災いして上手く利用されてしまうこともあった。こんな私の人生が、順風満帆なわけない。波乱万丈の方が合っている。

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色眼鏡がまったくない世の中の実現は、相手のことを何もかも知るくらいしなければ難しいと思う。プライバシーというものがあるので、ほぼ不可能なのかもしれない。相手を見て自分の価値観だけで判断するのではなく、もっと相手を知って寄り添う気持ちが大切。自分が嫌な気持ちになって初めて、私はそうしていこうと思えた。順風満帆ではなくても、私はこれからも人生を幸せいっぱいなものにしていきたい。