あの管理職のなめた態度は、私のせい?まだ性別で態度を分けるなんて

女だから。男だから。年上なら偉くて、年下をこき使っていい。高卒は頭が悪い。帰国子女は英語が堪能。世の中にはたくさんの価値観とそれと同じくらいたくさんの偏見がある。その価値観や偏見は、どうしたって自分の周囲の人間との関係で構築されがちだ。さらにネット環境やSNSが普及したことで、自分の欲しい価値観だけで自分の世界を作る事だって簡単だ。プライベートならそれでも良いだろう。でも、ひとたび社会に出たら特に会社での人間関係において、相手を不愉快にする価値観をもとにした表現は控えてもらえたら嬉しい。
私は、人の悪意に鈍感だと思う。悪意に気づいたところで、嫌な思いをするだけだし、他人の心を変えることはできないのだから気づかない方が幸せだ。そのためか、職場でも相手の嫌がらせや非協力的な態度に気づかないことが多い。相手が社内でも社外でも、やりたくないならそれでいいし、それでもお仕事が回るなら口出ししない。回らないならなんとしても対応してもらう。お仕事として関わる以上それでいいと思うし、上司でもない私がいちいち指導する理由もない。そんな中で、ある会社の管理職の方とお仕事をする機会があった。お仕事の内容自体は、他の会社と変わらないし、私からの依頼ややり取りで差があるわけでもなかった。それでも、日程調整のやり方が悪いと電話でお小言を言われたり、依頼内容の説明が足りないと会議で指摘されたり、小さな点で非協力的だと感じていた。私は、それを忙しいのかなとか、虫の居所が悪いタイミングだったのかなと、相手の問題と考えていた。
しかし、私と男女の後輩の3人で会社へ行った時、同行した女性が私に対して、「あの人は女性をなめている」と伝えてきた。私は相手の態度を気にしない性格だから気にならなかったが、彼女にはそう見えたらしい。そして、改めて見てみると、私の話よりも男性の後輩の話をしっかり聞いて対応していることに気づいた。同じできないでも理由やいつならできるかが説明されていたり、回答の言葉使いにため口が混じっていなかった。私が対応していた時にはわざわざ聞き返していたことがちゃんと補足され、相手を侮ったような態度がなかったのだ。それまでの私は、追加の質問が必要なのは私が担当しているお仕事に不慣れだからだと思っていたし、侮ったような態度も良いか悪いかは別として会社全体の雰囲気なのだと思っていた。でも、彼女の発言から、その後輩とのやり取りを客観的にみると私への態度がいかになめたものだったのか、思い知らされた。
それまで私は、これほど明確に性別で態度を分けられることなんて、古くからある小さな会社の話だと思っていた。でも、世の中にはまだまだそういう態度の人もいるらしい。うまく転がしてお仕事が軌道に乗ればそれでいいのだろうか。それとも、ちゃんと伝えて改善を促すべきなのだろうか。この問題を上司も感じとったのか、たまたまタイミングが良かったのか、この後すぐにこの会社の担当から離れてしまった私にはどちらの選択もすることがなく悩むことはなかったけど、女性としての尊厳とお仕事の責任、こんなことで悩む人が少しでも少なくなればいいと思う。
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