ルールも知らない?所詮顔ファン?女性スポーツファンに対する偏見

「サッカー好きなんか。ちゃんとルール分かってんだか?」
「へぇ〜かっこいい。こういう顔がタイプなんだね」
サッカー観戦が趣味と言った時や好きな選手の画像を見せた時に私が職場の人から実際に言われた言葉だ。
前者は50代男性社員、後者は同年代の女性社員。言われた時は正直意味が分からなかった。
男性社員の方は、競技のルールが分からなくて楽しめるはずがないのに何故か私がルールを理解できていないという前提で話をしてくる。一方で女性社員の方は、私が顔が好きでその選手を応援していると思っている発言だ。
一応10年以上はサッカーを観ているので最低限ルールは理解しているつもりだし、選手に求めるのは顔の良し悪しよりもプレーの良し悪しの方である。私はサッカーというスポーツ競技そのものが好きだ。目紛しい試合展開や美しいパスワーク、応援するサポーターの熱気も観ていて全てが楽しい。しかし周りの人から見たら顔で選手を応援しているファンとしか見えていないと分かり、とても悔しかった。
SNSでも同じようなことを目にする。女性がユニフォームを着てスタジアム観戦をしている写真をSNSに上げると「楽しそう!」などの明るいコメントがある一方で「承認欲求が強い」「所詮顔ファン」などとコメントしている人もいる。メディアでは「カープ女子」や「セレジョ(セレッソ大阪の女性ファンの略称)」などの呼称を付けているが良いことだとは思わない。わざわざ呼称を付けずとも、ただのファンやサポーターという呼び名でよいはずだ。このような形でメディアに取り上げられる女性ファンたちは、古くからのファンからは「年季が入っておらず知識も少ない一過性のファン」という扱いをされる。
チームから好きな選手が移籍すると、その後を追って応援するチームを変える人も確かにいる。チーム自体を応援しているファンからしたら、応援するチームをすぐに変える行為は腹が立つかもしれない。しかし誰をどのように応援するかは個人の自由であって他人に口出しする権利はそもそもないし、応援するチームを変えるのは男女どちらのファンにも一定数いるのだ。それなのに女性だけがメディアで呼称付きで取り上げられて目立つことで「女性ファン=知識が少ない一過性の顔ファン」のイメージが一人歩きしている印象を受ける。
これも一種のメディアによる男女の差の刷り込みのように感じた。2人の同僚ももしかしたらこのような無意識の色メガネをかけたまま私を見たのではないかと思う。
近年はジェンダーの考えが世間一般に浸透してきており「男らしさ」や「女らしさ」などの言葉を使わないように注意している人々が増えてきたように感じる。それでも、心の奥底に根深く根付いている「男だから・女だから」という偏った価値観で人や物事を語っている人もまだまだいるのが現状だ。私自身は男女で分けられた価値観に振り回されることなく、個人が持つ本質を見れるような人付き合いをしたい。
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