多感な時期を過ごした香港は私にとってわくわくするワンダーランド

親の転勤で10歳〜15歳という多感な時期を、私は香港で過ごした。
街は活気にあふれていた。二階建てバスが起伏の激しい住宅地を揺れながら走る。下町ではのどかに二階建てトラム。当時は日本のデパートも沢山あり、「大丸」行きのミニバスに乗ったものだ。的士(タクシー)に、松坂屋の前で乗ろうとすると、逆側から入ってきた現地の人に乗られてしまう。
香港島から九龍サイドへはスターフェリー。タクシーやバスなら海底トンネル。地下鉄もできたが、今も香港に行けばスターフェリーに乗りたい。
にぎやかな広東語が飛び交う。朝から飲茶は人でいっぱい。祖母が遊びに来た時、老人が家族と飲茶をしているのをうらやましがっていた。回ってくるワゴンの蒸篭の蓋をとって見たり、書いてある漢字表記から想像したり。食器が欠けているのは繁盛している証拠とも聞いた。
屋台のカレー団子やベビーカステラみたいなお菓子。取り締まりがくると屋台は油をぐらぐらさせながら逃げてゆく。
降り立つとカイタック空港は油のにおいがしていた。春の湿度は高くて、私の髪の毛は爆発する。マンションのエントランスは結露でびしょびしょ。木のドアの外に頑丈なアイアンドアもあった。
何十年もたって、変わったものも変わっていないものもあるだろう。また香港の空気を感じに行きたい。
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