約40年、不便と向き合い、自分と向き合う力を身に付けるわたしたち

当然にして「わたしたちは強い」と思っているわたしであるが、どこからそんな自信がわいてくるのか我ながらにやけながら、この思いをどう言い表そうかと考えた。
そもそも”わたしたち”とは一体どんな存在なのか、もう一回考えてみることにした。
まずもって、生物学的な女性の特徴は「性染色体XXを持つ。月経周期による身体的変化がある。生殖機能がある」だそう。
見た目で分かる違いについては、サイズ感、筋肉量、毛事情などのわかりやすい性差もありつつ、直接見えない性差は脳内にもあるそう。脳構造は同じでも、多くの脳領域でみられる男女の違いが、行動面での性別的特徴として表れることが解明されているとのこと。
社会的立場においては、歴史の記すところから現代においても、数々の女性の人権に関する運動・活動の存在こそが、社会的ジェンダー不平等の存在を物語っていると言えよう。
さらに残念なことに、近年の世界における日本のジェンダーギャップ指数は、世界最下位に近い最低レベルをマークしている。
現状を認識するとなおさら、”広がるフェミニズム”、”女性の活躍”、”強まる女性の結束力”など、現代の風潮を語る”イマドキ”な女性をマネしたくなってくる。
しかしながら、誰が何をもって「女性は弱い」と思うのかがもはや到底理解できないわたし。「わたしたちは強い」と断言する理由が、もっと根本的なところにあるはずだと考えてたら、これに尽きた。
「生理」だ。
もはや当然のこととして受け入れ、わざわざ口にもしないながら、女性が当たり前に遂行している結構な偉業であること、そして、「わたしたちの強いとこ」の「根源」となっていることを、すべての女性にリマインドしたい。
生理を『約40年、毎月、当たり前に、うまく対処する』のが”わたしたち”の共通点であることにお気づきだろうか。うまく対処するための試行錯誤を繰り返し、「自分と向き合う」ある種の修行のような時間が、私たち女性という「人間」をより強くしているのは紛れもない事実だと思う。
「生理」の2文字をやさしく表現して「ホルモンに翻弄される半月」。誰でも理解可能な事実のみをお伝えして「あそこから血を流す7日間」だ。
生理が大変、女性だから大変、という話をしたいのでは全くない。
「人によって違う」などはさておき、総じて「不便」であることははっきり言える(どこか部位を変えて、1週間出血が続いたことを想像してほしい)。
約40年間とは、平均年齢で初潮12歳、閉経52歳として換算している。
さらに、毎月7日間、月経である状態、を前提として、生涯の不便な時間の総合計はこうだ。回数にして480回、日数にして3360日、9.2年間もの時間が、「不便」な状態ということになる。
全女性がこの「不便」と向き合って、自分なりのやり方を模索してどうにかして乗り越えているわけで、無意識で大変さを感じずとも、「自分と向き合う力」の鍛錬を重ねている。この力を持って弱いはずがない。
同時に、不便への管理と日常生活のすべてを平行してこなす技も磨いている。
適正年齢で生理のない女性は、毎月以上にこの力の鍛錬を重ねていると推察するに易い。
自分たちがすでに磨き持っている「強さ」を”わたしたち”自身、再認識してほしい。
まず自分たちを知ることが、さらなる力量発揮への足固めとなり、全体の底力に繋がっていく。
「たかが1人のわたし」なんて思っている場合ではない。
自分と向き合うことを続けている”わたしたち”は、もうすでに強い上、強さに磨きをかけているのである。
そんな”わたしたち”1人1人から漲るパワーは「されど1人のわたし」である。
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