オフィスで働くことが別にものすごく嫌ってほどじゃないけど、「1人で作業したい」と思うときがある。

オフィスのBGMが流行り曲ばかりで歌詞が頭に入ってくるとき、デスクが近い子たちの甲高い話し声、やけにうるさいエンターキーを押す音。集中して仕事したいだけなのに、それを阻むモノがここには多すぎる。それに加えて、「仕事は話しながらワイワイやるもの」という会社の方針が、どうやら私には合っていないらしい。アイデアを出すための会話だということはわかっているが、そこから仕事以外の会話になるのはいつものことで、それが仕事の効率化を妨げていることに何度も溜息をついた。「仕事を活性化させるのが目的なのに、その逆になっては意味がないではないか」そんな風に思いながら毎日オフィスで静かに仕事をしている私に対して、周りが少し冷ややかな目で見ていることも、なんとなく気づいていた。

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入社当時、「うちの会社がリモートワークを取り入れることは、これまでもこれからもない」とハッキリ言われた。その時、「会社がやってることは最先端なのに、制度と考えは古いのね」と正直思った。別に出社制度を否定しているわけではない。「この先ない」と断言していることに対して嫌悪感を抱いたのだ。

経営者も会社もまだまだ若い会社。従業員もまだ少なく、産休・育休を取得している人間もまだいない中で、変化を見据えて考えることができない会社なのかと思った。更に言えば、場所を問わずにできる仕事であるのに、優秀な人材が日本各地にいる可能性に見向きもしない。本社と地方支社の2箇所でオンラインミーティングしていることも多々あるのに、なぜリモートを一切取り入れないのか。入社からそれなりに時間が経った今でも疑問に思っている。

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人との距離感は仕事をするうえでとても大事だと思う中で、会社や周りとのテンションの差に少し疲れている自分がいることにも気づいていた。それを見て見ぬふりしてきたのは、転職活動に苦戦することが怖かったからだ。本当は出社とリモートのハイブリッドが良い。リモートだからこそコミュニケーションをより大切にできる場合だってある。すぐに声をかけられないもどかしさは確かにあるかもしれないが、無駄話で不快になることは今よりきっと少ないだろう。行きたくない飲み会の誘いもきっと今ほど無いに違いない。これからのライフステージに合わせて、働き方だって変えていきたい。

「リモートを取り入れないから会社を辞めます」とまでは行かないが、辞めるきっかけになる出来事の一つには十分なった。大事なことなのでもう一度言います。会社や人との距離感ってとても大事です。もちろんその距離感は人それぞれ違う。郷に入っては郷に従えと言うけれど、その郷が合わないなら他の郷に行くまでよ。