毎月来るあの不快な1週間。

下腹部や腰にズンと重くのしかかる痛み、頭痛や吐き気、だるさなど、身体の不調に直結するものから、些細なことにもイライラしたり、何をするにもやる気が出ないような気分の落ち込みなど精神的な不調まで…。
もちろん人によって症状や影響範囲は様々で、ほとんど痛みすら感じたこともないという人がいれば、日常生活に支障をきたす人もいる。

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学生時代の宿泊行事の夜の部屋や、友人同士で行った温泉旅行の湯船の中といった女しかいない状況が発生した時、どうやって毎月のあのしんどい期間を乗り越えているのか?という話題で盛り上がった経験が何度もある。

一番よく聞くのはピル。また、若い女性では非常に稀だが、ミレーナを挿入したという同世代の話も聞いたりした。他には経血がアンダーヘアーにつくのが嫌で痛みに耐えながらハイジニーナにしたという友人もいた。
こうやって、それぞれの女性が自分なりの方法で乗り越えている。

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かくいう私は最近、生理用ナプキンを卒業した。
代わりに使い始めたのが月経カップ。最近はラジオCMでも頻繁に広告を聞くようになり、かつてよりはその存在もだいぶ知名度が上がってきたように思う。

生理が来ることの何が嫌って、痛みや気持ちの浮き沈みよりも、経血の匂いだった。鮮血のようなちょっと鉄っぽい匂いとは違う、あの独特の匂い。「経血は酸化すると匂うから、すぐにナプキン変えれば良いんだよ〜」なんてアドバイスしてくる人もいるが、そんなにいつでもどこでもナプキンが変えられるわけじゃない。しかも、生理中はずっと自分からこの匂いがしている気がして、兎にも角にも不快だ。

しかしこれはあくまでも私の場合。もちろんもっと辛い症状で悩んでいる人だってたくさんいる。とはいえ、自分はこれで毎月毎月不快な思いをしているのだから、自分なりの方法で乗り越えなきゃいけない。

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そう思って使い始めたのが月経カップだった。初めは、経血を空気に触れる前にカップ内に溜めるから匂いが極限まで抑えられるという話を聞いて興味を持った。とはいえ実際どんなものだろうと検索してみると、装着が難しいだとか、外国人向けに作られてるから日本人には合わないだとか、はたまた細菌感染のリスクが高まり最悪の場合死に至るだとかデメリットにまつわるいろんな情報が出てくる。「…死に至る??」そんなの怖すぎる。

しかし、更に詳しく調べていくと、最近は日本人向けに作っているmade in JAPANの月経カップがあったり、細菌感染についてもきちんと煮沸消毒などをする&使用時間を守ることで、その可能性を限りなくゼロに出来るなどといった情報が出てきた。もちろん日本産の商品はちょっと高かったが、毎月のナプキン代のことを考えれば、きっとそのうち減価償却できるだろう。そう思って私は購入を決意した。

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タンポンすらほとんど使ったことのなかった私にとって、初めは試練の連続だった。
ネットの記事ではよく「スクワットの体勢になり、下半身の力を抜き…」などと書いてあるが、まずこれがめっちゃ難しい。そもそもスクワットしてるのに力なんて抜けない。そして、「月経カップを三角形に折って角から膣に挿入」…三角形に折ってもそれなりに厚みのあるシリコンなので、思うように角は出来ない。そしてなかなかうまく入っていかない。

そうやって大格闘の末、どうにか本来あるべきところに装着出来たようだった。そしてその日1日、私は今生理が来ているということを完全に忘れて過ごすことができるほど快適な1日を過ごすことが出来た。

量の多い日や激しく運動する日など、稀に少量漏れることもあるが、ナプキンをつけておくほどではない。これまた最近のサステナブル思考などで流行っている吸水ショーツと組み合わせれば全然問題ない。
また、最初は苦労した装着についても数を重ねるうちにだんだんとコツを掴み、トイレの中で短時間でできるようになった。

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もちろん、身体とカップとの相性や、そもそもの向き不向きなどあると思うので、全ての人が私と全く同じように月経カップで快適に過ごせるとは限らない。
とはいえ、私はこのお陰でずっと嫌だった匂うナプキンから卒業ができ、快適に過ごすことが出来ている。

そんな私の実体験を読んで、「月経カップが気になっているけど、なかなか手を出せない」という人の手助けになれば…と願う。