嫌いだった営業職にやりがいを見出せるようになった2社目からの卒業

思い返せば、長い道のりだった。
志望していた大学に落ちて、一年間浪人をして、流れ着くように”行きたくなかった”大学で、思いがけず良い先生に出逢い、中国に留学して、そこから英語を勉強して、就職では、一番行きたかった会社と部署に就業した。
それまで、受験生活や大学生活では、本当にいろいろな人が支えてくれ、色々な人に出逢った。
自分が一番”行きたかった”会社で、いわゆる世間の幸せ=自分の幸せでは、必ずしもないのだと、世間的には恵まれた環境ではありながら、しばしば自分の本音や価値観の変化に気付くことが多かった。
そんな中、20代半ばで地方転職をし、そこでもまた、営業職として、本当にいろいろな出逢いがあった。そして、30歳を前にして、転職を決意し、春からまた東京へ。
そんな、地方の会社の卒業式の時。
仕事で関わっていた色々な客先の方から、卒業ムービーや花向けの言葉を頂いた。私は、自分の卒業式で、そのムービーをみた時に、内心うるっと、思わず心揺さぶられるものがあった。動画で花向けの言葉をいくつかの客先の方から頂いた時に、自分の2社目で過ごした数年間の実績を実感できたし、人として、そんなに自身の存在を有り難がられてたんだな…と、仕事上、はじめて実感するきっかけでもあった。
「あなたと、仕事以外でも今後も長期的に付き合いたいと思える人と出会えて、一緒に仕事ができてよかった」
「⚪︎⚪︎さん、良くやったね。⚪︎⚪︎さんは、同志です」
「担当が⚪︎⚪︎さんで良かった!」
など…。
普段、客先と接していて、そんな言葉を一度もかけられたことなかったので、卒業を期に、そんな客先の言葉を聞けて、なんだか、ハッとした気持ちだ。
それと同時に、「営業でよかった」と珍しく、思ったきっかけでもあった。
2社目で地方に来てから、私は営業として未熟ながらも、客先に有り難がられることが多く、勤めて最後に営業としての「成功体験」を持てた数年間だった気がする。
1社目では、ひたすら数字や順位を追い、転職した2社目では、社内外から「一緒に仕事できて良かった」といわれることを目標に掲げていたので、はからずも?卒業時には達成できていたことに自分でも驚いている。私は、やはり、人と競争し勝つことで承認実感を得るよりも、人から有り難がられ貢献実感を持てるほうが、やりがいを感じるんだと身をもって実感した。
ただ、そんな自分のモチベーションの源泉に気づくまで、長い道のりだったな、とも思う。
1社目であんなに営業職が嫌いで転職したのに、2社目で商材や環境が変わったことで、営業に凄くやりがいや好感を持てるようになった。
次第に、昔はあれだけ、数字のプレッシャーがやだ、営業先との対人関係の重圧がやだ、とにかく日々の心と身体のプレッシャーがいやだの嫌悪していたのに、いつしか、営業としての自分の存在意義を感じられる、自身が売ったサービスを通して、客先の環境が良くなっている、なにより、本気で頑張っている客先の方々と出会え、一緒に仕事ができる…という営業職の醍醐味に気づくようになった。
頑張って良かった、自分で進路を選択して失敗したり、それを成功にさせたり、自分の幸せを見つけられるようになって良かった。誰かと一緒に仕事をし、一緒に喜び合える経験ができて良かった。「仕事を離れても、今度は良き友人としていてください」と言われるような関係性を築ける職業、仕事ができてよかった。
30歳を前にして、今、そんな風に感じている。
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