入社式の日、ウォー!と猛烈にPCの設定を済ませ、ノートPCと通話できるイヤホンと諸々の書類を持たされて家に帰り、その翌日からリモートでの仕事が始まった。
最初のうちは、ブラウザのタブを開きすぎてPCが落ちてしまったり、過充電によって画面が真っ黒になったり(放電するまで何もできなかった)、研修についていけなさすぎて、リモートなのをいいことにちょっぴり涙を流したり。
リモート勤務に慣れるまでは、わからないことを誰に聞けばいいのか、どうすればいいのかが掴めずめちゃくちゃ苦戦したが、同期と助け合いながら徐々に慣れていった。

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慣れてみるとリモートでの仕事は快適なもので、友人には「家で仕事してたら切り替え難しくない?」なんて不思議そうにされたが、「PC閉じたらもう終わり!ってなるから私に向いてるわガハハ!」なんて言っていた。

だがしかし、弊害もあった。絶対に会社に行きたくない!という意思が強固になってしまうのだ。家でもできる仕事なのに、なんでわざわざ出社しないといけないの?と思ってしまっていた。仕事上、リモートですら伝わるピリピリした雰囲気になることも多く、リモートだからギリギリ耐えられていた部分があったので、出社なんてしたら精神が焼き切れてしまう……!と怯えていた。
また、毎日化粧をしないどころか着替えもせずにパジャマのままリモートで仕事をしていた私にとって出社は、今から滝行に行ってください、と言われるくらい精神的苦痛が大きかった。

ある日、上司に「この日は出社しろ」と言われたのに、蓋を開ければ上司はリモートで出社しているのは私だけ。結局家でできることをただ会社でやっただけ、ということも複数回あったため余計に出社は苦手だった。

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そんな私は今、週5で出社する企業で働いている。前の会社で学べなかった出社の大切さを学ぶ日々だ。

同僚との仕事の合間の雑談、給湯室で一息つくこと、仕事の途中で食べる誰かからのお土産、同僚とワイワイ言いながら食べるお弁当、コピー機の詰まり、内線電話、全てが新鮮で、私の社会人生活は今やっと始まったのだと思った。

また、今の会社で働き出してからなんと飲み会にも行けるようになった。前の会社では、仕事外に顔を合わせるのが嫌すぎて、いろんな理由つけてはリモートの飲み会ですらズル休みしていた私が「明日飲み会やわ」というと、家族には「え……?熱でもあんの……?」と怯えられた。熱でうわごとを言っているわけではないです。

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自分でもこの意識の変化は不思議だったのだが、仕事内容、定時、通勤時間が変わったことが影響しているように思う。前までは仕事中に休憩をしてもいいタイミングが分からず、ぶっ通しで仕事をしていたので、勤務が終わったらぐったりして何もする気にならないことがほとんどだった。しかし今は同僚が一息つくタイミングで休憩を入れればいいのだと学んだので、終わってからの疲れもマシな気がしている。

まだ繁忙期を経験していないからこんな呑気なことを言っていられるのかもしれないが、会社に前向きに向き合えるようになったことで、自分はまだまだ変われるんだなと思った。人生は短いようで長い。自分の変化を楽しんで生きていくぞ!