今の私は、時計などない世界の中で眠れない夜中を一人で過ごしているみたい。
あとどれくらい待てば朝が来るのか分からない、何をする気にもならない。
少し気を抜けばネガティブな思考ばかり浮かんでくる。
いつ朝が来るのか分からないけれど、朝が来るのを心待ちにしている。

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いつからこんな夜中になってしまったのだろう。
きっかけは私が離婚を切り出したことだったと思う。
相手のぶっきらぼうなところ、自分の感情を口に出さないところと私の繊細すぎる部分が相まって、私は相手に恐怖心を抱いてしまった。
かっこよく言っているけれど、自分に自信を失い相手から捨てられることに極度の恐怖を抱き自滅してしまっただけだ。
それなりの覚悟を決めたつもりだった。一度切り出してしまったら戻れなくなることも承知の上だった。
だったのに。

相手と会い話し合いをしていくうちに感情が動いてしまった。辛くなってしまった。
相手の二転三転する主張に、彼の言葉を聞きせっかくもう一度信じてみようと思っていた心が傷つき、裏切られた気持ちになってしまった。

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子供や住居、財産管理など今後についての話し合いを求めた後、今後の進展について「分からない」と言う。
「分からない」しか言わない一方で、「他の夫婦とは少し違うけれど、自分たちのペースで楽しみたいな」と言う。
彼は性格的に人に流されることが多く、直接的な表現ではなく間接的な表現をよく使う。
他人軸でしか生きれない私はそんな態度に振り回されてぐしゃぐしゃになってしまった。
「そりゃ相手も色々な感情が錯綜しているんでしょ、自分がどうしたいかで考えなよ」
そんなことを言われそうだけど、そんなこと分かっている。
なのに、私にはまだできない。

相手の答えを待っている間、何百回、何千回と相手が言っていた言葉を思い出し、相手の真意を分析する。
「こう言っていたからまだ戻る気でいるのかな」とか。
正解なんて一人で考えてたどり着けるはずがないのに。歌詞でよくあるような答えのない迷宮に迷い込んでいる状態だ。

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ここまで読めばお気づきになるだろう。
そう、自分がどうしたいのかが一切書かれていない。
心の奥底では答えが決まっているのかもしれないが、その答えは、恐怖や他人軸、不安で隠されている。
まだ相手に捨てられることを恐れ、自分の痛みなど忘れてしまっている。
「やっぱり離婚しかないね」と言われることを怖がって、最初はあんなに威勢が良かったはずなのに今では自分の主張など全く言えない、相手を試して少しでも安心を得ようとする。
そんなことしかできないのだ。

私がこのエッセイを書いた理由は、そんな自分と向き合いたいと思ったからというのと「朝」まで耐え抜く覚悟を決めたかったから。
このままではいけない、どちらの選択肢を選ぶにしても今後の人生にしてもこんなんじゃ幸せにはなれない。
この苦しみから逃げず、自分軸を持って考え抜く。
答えを焦らない、相手に干渉しない。
これがこの明けない夜中から朝へ導くキーポイントなのだと思う。

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私が今までしていたことは、朝を求めすぎて夜中に家中の、いや、街中の電気をつけ朝だと信じ込ませるようなものだ。そんなものは朝ではない。

あとどれくらいすれば朝が来るのか私も分からない。
きっとそれまで「辛い」の3文字じゃ表せないほど辛いのだろう。
でも本当の朝を迎えたい。
だからそれまできっと耐え抜いてみせる。