大学で出会った先輩と語り合った日。明け方に見た景色が忘れられない

私にも今思い返すととあっという間な、しかしとても深くて綺麗な時間だと感じられる。そんな時間を共有した友人がいる。中学生の時の親友や修学旅行で一緒になったクラスメイト、高校の部活動の仲間や、大学でレポートを夜通し取り組んだゼミの仲間だ。
こう思うと、とても充実した日々を過ごしてきたのだと思う。そして、当時は意識していなかったが、さまざまな人と出会って同じ時間を過ごした相手がいたということがとても幸せだと感じる。
その中でも特に心に残っている人がいる。その人とは、私が大学に入学してすぐのサークル勧誘で出会った。私は勉強とアルバイトを頑張りたかった為、サークルには興味がなかったのだが、友人の付き添いという形で色々なサークルの案内を受けた。その中で、「2週間に1回、体育館を借りて、バレーやバドミントンやドッジボールなど自由にやってます!」という、とてもゆるゆるな同好会があった。参加も自由で、色んな学年、学部の人と仲良くなれるし、運動不足解消にもなるとの言葉に惹かれてしまった。今度見学会や良ければ新歓もあるからと、その同好会の勧誘をしてくれた1学年上の先輩と連絡先を交換して、その日は終わった。
その後、友人は目星をつけていたサークルに仮入部した。活動日数も多いサークルにも関わらず、2つも参加するといって、私と違ってやる気がみなぎっていた。
私は無所属のままでいいかなと思っていたところ、校内で先日連絡先を交換した先輩とばったり会った。また勧誘されたらどう断ろうかとグルグル考えていたけれど、先輩は「大学慣れた?」とか、「あの食堂のオムライス美味しいよ」などたわいもない話をしてくれた。色々と話をして、当時パソコンが苦手だった私に教えてくれることになった。
そんなこんなで仲良くなり、一応同好会にも登録(LINEのグループに追加をしてもらっただけ)し、時々話をするようになった。
ある日たまたま夜にLINEが続き、やらなきゃいけない課題も溜まっているから、作業しながら通話しようという流れになり、初めて電話をした。私は電話があまり得意ではなかったのだが、その先輩とはなんだか波長が合い、大学に入った経緯からはじまり、自分の幼少期のことなど色々なことを話し合った。課題を進める手は止まっていた。
先輩の話を聞くのも、自分の話を聞いてもらうのも楽しく、ずっと電話をしていた。夜8時過ぎに始めた電話で、少し眠気を感じた頃、先輩から「ちょっと外見える?」と言われた。何かと思い部屋のカーテンを開けると、外が明るくなっていた。その明るさは、ピンクとオレンジと黄色をゆっくり混ぜたような、とても心が揺れる色をしていた。少しの間言葉を失っていたが、初めての電話で日付が変わって朝日が昇るまで話していたことに、さらに驚いた。
夜通し喋った内容は、お互いに夢中できっと今は僅かにしか覚えていないが、あの日見た朝の美しさは今後も心に残るだろう。
25歳と少し大人になって、一緒に過ごした時間が刻まれていること、共通の思い出があること、それらの価値と繊細さを感じられるようになった。
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