私は今までに5回引越しをした。

初めての引越しは大学3年生の時。実家を出て1年間の寮生活が始まった。
その後就職とともに当時の彼との同棲生活がスタート。過ごしていく中で生活スタイルも変化し、アパートの更新のタイミングで再度引越しをした。
その彼ともお別れをし、なんだかんだで初めての1人暮らし。そこから現在のシェアハウス入居に至る。

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5度の引越しを経験するも、全て出身県内での話だ。就職先は隣の県だったけれど、住む場所としては県内から出たことが一度もない。

特にこだわりを持って住んでいるわけではなかった。特別地元愛が強いわけでもないし、結婚もしていないから自分で自由に住むところも決められる。なんなら日本国内でなくても住んでみたいなと思う国もある。
それでも結局、28年間、ここから出られない。

出られないと言いながらも、現在の生活に現状不満があるわけでもない。だからこそどこで生きていくのか、深く考える時間も減っていた。

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そんな中、今の彼が本当はシェアハウスに対して不安を抱いていることを知った。
彼は私がやりたいことや好きなことを決して否定しない。だからこそ、それを伝えてくれるということは、私が思っている以上に心配をかけてしまっていたんだと思う。男女共用シェアハウスだし、私が逆の立場だとしたら同じように不安に思うだろう。

同棲の話も出た。私も彼と生活ができたらとても幸せだと思う。けれどお互いの職場が離れているので、なかなか踏み切れない。お互いの職場の中間地点にするのか?彼の仕事は残業も多いので、彼寄りにするのか?
ついこの間までノリと勢いで引越しを重ねてきたのに、真剣に関係を続けていきたいからこそ決めきれない。

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今回のことで、改めて地元県を離れられない理由を考えてみた。
一番大きな理由は、家族同然の友人や大好きな祖父母がいること。今日は1人でいたくないなと思う夜は気軽にご飯に誘える友人がいて、気になるイベントがあるときは趣味が合う祖母と出かける。そんな生活に慣れてしまって、失うのが怖い。

もう一つは、前の彼との別れだ。4年半の交際を経て、結婚を考え前職を辞めたけれど浮気が発覚し同棲解消。もちろん前の彼と比べるわけではないけれど、経験としてトラウマがないわけではない。今この環境を地元に置いて、彼と新しい生活を始めて、また同じことがあったら。そう思うと今度は立ち直れる自信がない。

生きる場所を決めるということは、大袈裟かもしれないけれど、人生を決めるということだと思う。それがたとえ今の場所から電車でたった30分のところであろうと、飛行機で12時間のところであろうと。
その場所を考えた時、私が誰と生きていきたいのかも見えてくる。

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今こうして誰かとの将来を考えて悩む時間も、私の人生がまた変わり始める兆しなのかもしれない。