一緒に生きている。迎えたホルン♪との生活がもたらしてくれた成長

201X年、12月24日。
とある小学生がサンタさんにお願いをする。
「犬がほしいです」
届いたのは、プードルのぬいぐるみ裁縫キット。異様にリアルな毛皮をはさみで切り取り、縫い合わせていく。不格好なブラウンのプードルが完成した。
2025年、4月6日。
子犬を迎え入れた。
名前は、「ホルン♪」。
名付け親は2人。「ホルン」は私で、紙の辞書を引きながら決めた。「優しく豊かな音」という記述に惹かれた。「♪」は、母のノリだ。
もうすぐ4ヶ月の年になるホルンは、内弁慶で家族の中心的存在。家に来て1ヶ月ちょい、既に家族の会話は、9割ホルンのことだ。(♪以下省略)
そんなホルンの成長を見届けられていることが、最近うれしかったこと。
ペットショップでホルンを見つけ、おとなしそうで、あざとくて、よく寝てる、マイペースな子という印象を受けた。何回か通ううちに、抱っこ時の震えが止まり、母より私に好意を寄せ、舐めてくれるようになった。(私の方が抱っこしていた時間が長いからである)
私含め家族全員、犬を飼ったことがない。そのためか男性陣は特に、乗り気ではなかった。(今ではメロメロなのだが)
自分でおしりを拭けない、毛が落ちる、追いかけられたことがあり、元々好きではない……などなど。
振り返ると、「ホルンだから家族になれた」という所も大きいと感じる。今では誰の方が好かれているかと、対抗心を燃やしている者もいるからだ。
そんなこんなで必要なものをそろえ、ゲージを私の部屋に設置し、一緒に暮らし始めた。
幸せで楽しい念願の愛犬との生活は、困難も生じた。
それは、私の育犬ノイローゼの症状が見られたことだ。前述した通り、居住者全員が犬について無知である。そのため私は、一挙手一投足、ホルンの行動に違和感がないかを確認し、Google検索をして、常に異常はないかを気にしていた。また、お留守番の時間短縮のため、多くの時間を側で見守ることに割き、毎日のように夢にホルンが出てきてくれた。ホルンを考える時間がない日々に、頭がいっぱいいっぱいになってしまったのだ。
だが、実家に住んでいることで、家族の協力を得ることができ、抜け出すことができた。自身のスケジュールの優先順位を高め、メリハリをつけることで、より愛情が深まった。また、気に病んでいた噛み癖の解消も見られた。
好ましくない言動に、だめと言うこと、無視をすることも、心苦しかった。しかし、日々学ぶホルンを尊重しながら発言をすることができるようになった。
また、自身の意識もホルンのおかげで成長した。
嫌なこともやってみること。毎日の調子に合わせてやること。自分をケアし、たくさん自分を、他者を褒めてあげること。1日の中のエネルギー調整をすること。やることをリストアップし、優先順位を立てること。責任ある発言を心がけること。
褒められることは、嬉しいこと。
まさか、私がムツゴロウさんのように動物に触れ合うとは思いもよらなかった。
ホルンは初日から、ゲージに入っても鳴かず、くつろいで眠ってくれた。そのような順応性の高さによって、私は何度も助けられた。ホルンのおかげで、家族に共通の話題ができた。私が2階から1階に降りてくる時、ホルンを抱っこしていないとがっかりされるほどだった。
もちろん育児より、大変ではないと思う。だが、育犬を通じて、親を経験している方への尊敬の念が深まったのも確かだ。
飼い主(親)になって、かわいいと思っていても、他者に過剰なほど、ひけらかすことをする必要はないと思っている。言葉には出さずとも、満たされている想いというのは、こういうものなのか。
もちろん、家に帰れば、「かわいいね〜♡」「いい子だね〜♡」を連発しているが。
たまに考えることがある。
花火の音にも慣れていて、工事の音にも慣れている。ワクチンの注射もびくともしない。
この子はいったいどんな前世だったのだろうかと。
花火職人のおっちゃんかなぁ。
―いや、花火を見せてもあまり興味がなさそう。
このような空想を父と話す。
このとき、必ずおっちゃんを提示する。
父が顔を舐められて喜んでいる様子が、目に余るからだ。
一緒に生きているんだなぁ。
ぼそっと父が言った。
いつの間にか、ホルンも頑張っているから私も。と、気持ちを引き上げてもらっている。
お互い成長していこう。
という気持ちにさせてくれた。
これが、最近嬉しかったこと。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。