先日、父からLINEが届いた。開いてみると「明日は母の日なので、お母さんに何かコメントをお願いします」とのことだった。「コメントって、笑。業務じゃないんだから」と、相変わらずの不器用さに思わず笑ってしまいながらも、「りょーかい!」と軽く返事をした。

さて、今年は何を贈ろうか。去年は、母が好きな漫画『ガラスの仮面』のグッズをプレゼントして、とても喜んでもらえた。電子機器が苦手な母は、そもそもグッズがあることすら知らなかったようで、驚きとともに喜んでくれたのを思い出す。

そういえば「家で気軽に着られて、汚れてもいいTシャツが欲しい」と話していたことを思い出した。ちょうど『ガラスの仮面』モチーフの黒いTシャツを見つけたので、今年はそれをプレゼントに選んだ。

まずはLINEで「今日、母の日だったね。いつもありがとう」とメッセージを送ると、「覚えていたなんてびっくり、嬉しいです。ありがとう」と返ってきた。実のところ、私は毎年母の日を忘れてしまい、数日後にあわてて「ありがとう」と送っては、「もう過ぎたよ」と言われるのが恒例行事になっていた。父は、そんな私を見越して、先に知らせてくれたのだろう。

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そのやり取りから少し後、母からLINEが来た。「今朝、お父さんとけんかして大変だったんだよ……。〇〇(弟の名前)の育て方で意見が割れちゃってさ。本人は良かれと思って言ってるらしいけど……。話を聞くのも嫌になって、今はカフェで一人、落ち着いてるところ。また話聞いてね」とのことだった。

なかなか大変そうだ。そこで私は、「ちなみに今日が母の日だって教えてくれたの、お父さんだったんだよ」と伝えてみた。すると、「そんな指令出してる場合じゃないよ。まあ、気持ちはうれしいけどねぇ」と返事が来た。娘への母の日の喚起は忘れないくせに、肝心な所で喧嘩するなんてお父さん何やってんの……と呆れるばかりだ。

しかしながら、せっかくの母の日を台無しにするのはもったいない。そう思って、父にも一言送ってみた。「お母さんと今日けんかしたらしいじゃん。お母さんにも悪いところはあるかもしれないけど、今日は母の日なんだから、ちゃんと謝って仲直りしてね」と。

その日の夜、母から「お父さんが謝ってくれて、仲直りしたよ」とメッセージが届いた。やれやれ、と思いつつも、内心ホッとしていた。

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それからしばらくして、私の選んだプレゼントが母のもとに届いたようで、「ありがとう」のスタンプが送られてきた。そして父からも「プレゼントが届いたようで喜んでいます。ありがとうございます」というコメントと、Tシャツを着て満面の笑みを浮かべる母の写真が送られてきた。

父の、母の喜ぶ姿を写真に撮って、わざわざ私に報告してくる感じがなんとも微笑ましかった。そして、不器用な父なりに母を大事にしているのが伝わってきて、私も嬉しくなった。

離れて暮らしていても、両親の仲直りを少しだけ後押しできたこと。そして、私のプレゼントで家族が笑顔になったこと。それが、最近のいちばんうれしかったことだ。