元彼から連絡が来た。

6〜7年ぶりのことで驚いたが、連絡内容も理解できるものだった。
1年前ほどに仕事関係のイベントで再会していて、今年もそのイベントがあるため、それにきているかどうかの確認だった。

◎　　　　　　　　　　◎

元気にしてるか気になった、と書いてある。また好きになってしまいそうな感情を必死になって押し込める。そういえば当時色々あって別れて、散々泣いたし苦しんだし、それだというのに今更何をいうんだという感情で満たす。

知り合いに話したら、「それは神様に試されているね」と言われた。というのも私は最近、婚活を始めたからだ。

婚活を初めてみたはいいものの、なかなかピンとくる相手がいない。結婚って何？付き合うって何？と考えながら何人か会ってみたが、友達になりたいな、という感覚すらわからなくなっていた。初めて会う人と話すのが、最近なぜかすごく疲れる。昔はすごく好きだったのに。

好きってなんだろう。そんなことを考えている時にきたのが元彼からの連絡。

◎　　　　　　　　　　◎

当時付き合っていた時のことを思い返してみた。

そう言われると彼とは話が途切れなかった。無言の時間を忘れてしまうほど、無言が気まずくなかったのだろう。話したいことが山ほどあったし、聞きたいことも山ほどあった。私に興味を示してくれると、私も相手に興味を示す。楽しいな、と純粋に感じる時間だった。

ああこの感覚か、好きになるっていうのは、と改めて思った。これまで何人か好きになったことはあったが、その好きって顔が良いとか、優しい言葉をかけてくれるとかそういうもので、自己満足というか、エゴのようなものだった。
きっとこれって承認欲求とかそういうものだろう。

この感覚か、と元彼からの連絡を元に思い出した。そういう意味ではありがたい連絡だったが、やはり今更である。確かに私は彼が好きな時期はあったし、振られた後はそれなりに引きずった。けれどそれからもう何年も経っていつしか私も思い出すことはなくなっていたのだ。

◎　　　　　　　　　　◎

元彼にとっては私はもう友達なのかもしれない。短い期間しか付き合わなかったし、元の関係に戻れると思っているのかもしれない。けれど私にとっては、付き合ってた時間はとても大切な時間で、元の関係なく戻れるようなものではない。一線を超えてしまったのだから、もうそれは仕方のないこと。彼もそれは受け入れて欲しいし、私を惑わさないで欲しい。

あなたには興味はもうありませんよ、ということを匂わすような、大人の、おおい当たり障りのない返信を彼にはしておいた。