これをもって、私は自分のこの気持ちとさよならをする。

誰よりも、そして過去一好きになった人だった。彼の1番でいたかった。むしろ、彼の1番であると思ってた。彼は、彼女を作らないと言っていたし、私にしてくれることは誰が見ても、彼女にするようなことであった。だから、1番だと思ってたし、関係に名前をつけていないだけだと思ってた。そして、私もそれでよかったし、幸せだった。

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彼との出会いは、バイト先だった。上京してきた私は、不安がたくさんある中、新しいバイトという環境にも進まないといけなかった。最初の印象は優しくて、話が上手な人。

割と早い段階で2人でご飯に行った。私は一人暮らしだったし、彼は実家が好きではなかった。そんなだったから、ご飯に行った後は我が家でダラダラしたり、ゲームをしたりとそんな2年間だった。私は好きであったから、体の関係もありだったし、彼もそれだけ私に気を許していると感じていた。そう、本当に彼とはたくさんのことを一緒に経験した。教えてもらった。

2年も一緒に過ごすうちに、彼の人柄は多分誰よりも理解していたと思うし、彼をわかっていたと思う。性格的に合わないことはなかったと思う。私が自分の性格を治してまでも一緒にいたかったから。そして、彼が間違っているときは、私が伝えれば納得してくれていたから。

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それでも、なんとなく勘が働く私は、彼が他にもたくさんの人と仲がいいこと、他にも大切にしているであろう人がいること、女の影があることは感じていた。

そのうちの1人は、同じバイト先の子なのだ。私が、どう頑張っても手に入らないものを持っているような女の子。その子を特別に大切にしているのは感じていた。そして、付き合うならその子になるんだろうなとも。それでも、その子とは度々仲が悪くなったり、関係が悪くなったりしていた。その子は彼のことが好きなのに、彼を蔑ろにするのが耐えられなかったらしい。

その子が大切であっても、私との関係はなくならず、なんでも私に話してきた。結局、彼の意識はその子にあっても、私は私で彼女という立場ではないにしろ、たくさん相談され、話をして、大切にされていた。

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大体そうだと思うが、人間は大切にしてくれる人であればあるほど、甘えてしまい、扱いが雑になっていくもので、彼は私の扱いはどんどん雑になっていくのも感じた。

他の女の影が見える、私をそういう意味では1番にしてくれない、蔑ろにされている、その時点で私も恋愛としては無しであった。大切な人で、いちばん信用している人に変わりはないのだが。なのに彼女は作らないで欲しかった。今思えば、彼が他の女の子を大切にするのが嫌なのではなく、彼との関係が変わるのが嫌だった。当たり前だが、彼女ができたら、2人で飲みにいくこと、家で一緒に遊んだり、寝たりすることはなくなる。それが耐えられなかった。彼に言っても、彼は「俺たちの関係は変わらないよ」というけれど。

そんなこんなで2年が経ち、彼は結局、やっと素直になったバイト先の子と付き合った。想像してた通りに進み、私に使ってくれていた時間も、熱量も全部その子に向いた。なんでその子なの?私の方がずーっと好きで、大切にしているのにと何度思ったことか。私が想いを伝えた時には軽くあしらったのにと。

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彼のことは世界で1番だいっきらいで、大好きだ。彼の1番でいたかった。
でも私は、彼女にはなれないし、なりたくない。彼の1番の友人でいい。親友くらいにしておいてくれたら。
私は友人として1番でいられるように、いつでも彼を受け入れられる存在でいられるように過ごしていこうと思う。
そうやって、大切な人であることは変えずに、この好きという気持ちとはお別れして、私は前に進んでいく。大切な思い出の一つとして抱きしめてこの恋を、好きを終わらせることにした。